2018.07.10 08:00

【西日本豪雨】危機どう伝え、逃げるか

 九州から近畿にかけ西日本を中心に記録的な豪雨が襲った。高知県を含め広範囲に甚大な被害が及び、土砂崩れなどによる死者は少なくとも12府県で計100人を超え、安否不明者も多数いる。
 伊勢湾台風や室戸台風など暴風雨が移動しながら被害が広がった災害例はあるが、これほど広い地域で同時多発的に豪雨被害をもたらしたケースは異例だ。自然の脅威を改めて見せつけられる。
 不明者の捜索が続く。一刻も早い救出と無事を祈りたい。被害者への支援、災害弱者、避難者らへのケアにも全力を挙げたい。
 梅雨前線が西日本のほぼ同じ場所に、長くとどまった。太平洋高気圧が偏西風の蛇行で南に後退したためで、停滞した前線に南から大量の水蒸気を含んだ空気が流れ込み、豪雨を降らす積乱雲を生んだ。
 激しい雨が局地的に続く「線状降水帯」が前線付近のあちこちで同時的に形成されたとみられる。積乱雲が帯状に連なる現象で、2015年の関東・東北豪雨や昨年の九州北部を襲った豪雨をもたらした。
 気象庁が出した大雨特別警報は高知県を含め11府県に及んだ。「数十年に1度」の危険を呼び掛ける警報で、13年に運用開始以来、高知県は初めて。過去の反省と教訓に立って始めた避難誘導だが、今回も十分に機能したのか課題が残る。
 特別警報後も自宅に残って避難しなかったり、車の運転をやめなかったりして洪水に巻き込まれたケースがあるという。住民の身に迫る危機をどう正確に伝え、避難に移せるか。検証と改善が必要だ。
 地震も含め大きな自然災害が少ないとされてきた岡山県で河川氾濫などが相次ぎ、多くの犠牲者が出た。4年前の大規模土砂災害で77人が亡くなった広島県でも再び土石流で多数の命がのまれた。
 災害はいつ、どこで、どんな形態で起きるのか―予測の難しさと、それ故の備えの重要性をまた突き付けられる。教訓をくみ取り、生かす努力を続けるしかない。
 幾多の豪雨を経験してきた県内でもまた各地で記録的大雨に見舞われた。土砂崩れや浸水が多発した。
 7日未明には大豊町で高知自動車道の上り車線の立川橋が、土砂崩壊で橋桁ごと吹き飛んだ。周辺には地滑り地形があり、相応の安全対策が取られていたはずだけに衝撃は大きい。物流や観光への影響にとどまらず、災害時の「命の道」が寸断された事実は、南海トラフ巨大地震も迫る高知県防災の危機管理にとって深刻な懸念要素になる。
 また県内全域で通信障害も起き、固定電話やインターネットが一時不通になった。災害救助などの支障にもなりかねないトラブルだ。早急に再発防止策が求められる。
 梅雨が明けたとしても、大量の雨を含んだ土砂は崩落の危険が残る。台風など豪雨が予想される時季がなお続く。気を緩めず、念には念の備えを整えたい。
カテゴリー: 社説


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