2018.07.06 14:36

「家の前の道が川に」 安芸川氾濫で住民緊迫 高知県

安芸川の増水で崩落した堤防と県道(6日午前8時15分ごろ、安芸市僧津)
安芸川の増水で崩落した堤防と県道(6日午前8時15分ごろ、安芸市僧津)
 続く豪雨、今までにない雨が―。高知県安芸市では、6日未明に市内を流れる安芸川が栃ノ木地区で氾濫。川沿いの東地(ひがしじ)の集落では約10棟が浸水被害に遭い、21人が一時孤立するなど、不安な一夜を過ごした。安芸川沿いを走る県道は濁流に削り取られて崩落。決壊すれば市街地への浸水が懸念されるため、大氾濫を抑えるための作業が続いた。

孤立していた住民を抱えて避難させる消防隊員(6日午前6時50分ごろ、安芸市栃ノ木)
孤立していた住民を抱えて避難させる消防隊員(6日午前6時50分ごろ、安芸市栃ノ木)
 浸水被害が出た東地集落は、安芸川にかかる栃ノ木橋の東岸で、市によると19世帯36人が居住。西岸に比べて低く、この日は21人が未明に一時孤立した。地区の中の2階建て住居に近隣住民が集まり、一部の人は屋根に上るなどして、夜が明けるのを待った。

 西村晴夫さん(66)は午前2時ごろ、避難を呼び掛ける消防署員に促され、増水する川にかかる橋を車で渡って、妻と高校生の孫と一緒に近くの公民館へ逃げた。

 「床下浸水は何回かあったけど、こんなのは初めて」と、驚いた様子で話した。

 東地集落の対岸に住む小松幸さん(52)は5日夜からの強い雨に不安を抱き、深い眠りにつけず、午前2時半ごろに目を覚ました。近くを流れる安芸川の支流から水があふれ「家の前の道が川のようになっていた」。1階のトイレの床が水に漬かった。「子どもの頃から住んでいるが、こんなことは初めてだった」

 同居する80代の両親を連れて避難する方法を考えあぐねていたところ、30分ほどで消防隊員が現れ、両親をおぶって救出してくれた。小松さんはふくらはぎまで水に漬かり、隊員に両手を引かれて家から脱出した。

 日の昇る前の避難。「消防の人がおらんかったらどうなっていたか分からん」と振り返り「他の人も大丈夫だといいけど」と近所の人の無事を願った。

 同市土居の男性(59)は早朝に避難。「隣の地区が浸水していると聞き、足の悪い父らを車に乗せてきた」。安芸川から100メートルほどの場所にある自宅で、いつもと違う雨の降り方に不安を覚えたという。同市川北甲の清水ケ丘中学校に避難したが、薬の入った袋を手に、「今日も病院に行く日。準備に一回自宅に帰らないと…」と疲れた様子で話した。

 一方、6日午前3時ごろ、安芸市僧津の県道安芸物部線で、安芸川沿いを走る道路の一部が川側に崩落しているのをパトロール中の市職員が発見した。幅約10メートルの片側1車線道路。大雨による増水で崩落したようだ。安芸川の堤防の役割も果たしており、道路が崩壊すれば安芸市の中心市街地への浸水が懸念される。管理する県安芸土木事務所は土のうを積むなど、応急措置を急いだ。

 安芸市役所から約3キロ北の地点。発見時は1車線道路が半分崩落していたが、崩落幅が広がり、正午ごろには全長80メートルほどにわたって道路がえぐり取られた。

 「堤防決壊の恐れもある」として市は午前4時20分以降、下流の土居、僧津地区の約1900人に避難指示を出し、午前7時20分には市役所のある矢ノ丸1丁目などの約1600人に避難指示を出した。

 ごめん・なはり線を運行する土佐くろしお鉄道にも連絡を取るなど、緊迫した状況となった。

 現場では、建設業者が土のうを積み、決壊を防ぐ対策を懸命に取っている。安芸市の竹部文一副市長は「県道が決壊すれば市街地に水が入り込んでくる危険性が高い。土のうで何とか抑えたい。これ以上雨が降らなければいいのだが」と心配しながら口にした。

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