2018.07.06 08:00

【文科省局長汚職】あまりに露骨 全容解明を

 天下り問題や加計学園疑惑で批判が強まる文部科学省でまた、言語道断の不正が図られていた疑いが明らかになった。同省の信用失墜は底なしの様相だ。
 東京医科大を私立大支援事業の対象校に選定する見返りに、自分の息子を入学試験に合格させたとして、同省前官房長の科学技術・学術政策局長(4日付で大臣官房付)が受託収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
 官房長当時の2017年5月、医科大関係者から依頼を受け便宜を図る謝礼として、今年2月の入試で息子の点数を加算させていたという。入試の不正防止を所管する官庁の現役官僚が職務権限を悪用し、「裏口入学」をねだっていた構図だ。
 厳正、透明であるべき助成金事業の選考がゆがめられ、公正公平に立つ入試が踏みにじられた。なぜ、これほど露骨な不正がまかり通ったのか。詳しい経緯や動機など全容解明が急がれる。
 逮捕された前局長は科学技術分野だけでなく、教育政策にも明るかったとされ、早くから「次官候補」とも目されてきたという。逮捕容疑当時の官房長は広範な権限を持ち、省内の意思決定に強い影響力を行使できる立場だった。
 前局長が便宜を図ったとされる「私立大学研究ブランディング事業」は、経営改革で独自色を打ち出す大学の研究を支援する競争的資金として、16年度に始まった。応募大学が提出した計画書を学識経験者らが審査し、同省が助成の対象校を決める。
 事業期間は5年間で、東京医科大はがんなどの早期発見の推進などを掲げた計画書が評価され、17年度の応募188校から支援対象60校の一つに選ばれた。1年分の助成金3500万円が交付された。
 少子化で学生確保の競争が激化する私立大では、PR目的も含め公的助成への要請が高まっているという。医科大は16年度もほぼ同じ計画書で応募したが、落選した経緯がある。17年度の選定を確実にするため、前局長に働き掛け、便宜供与と引き換えに息子の合格を約束した可能性がある。
 前局長も厳しい経営環境にあえぐ私立大の事情につけ込んだ形で、さながら「悪代官」の行状だ。省内から「今どき、裏口入学だなんて…」と困惑の声が聞かれるほどだ。
 医科大の選定に前局長がどう関与し、なぜ省内で不正がチェックできなかったのか。医科大の入試不正は他にはないのか…。あまりにあからさまなだけに、疑問は膨らむばかりだ。
 逮捕容疑の一連の不正は、文科省の違法な天下りの防止が議論され、加計疑惑が浮上、国会の追及が強まってきた時期に重なる。前局長の公僕としての意識の欠如を疑う。財務省や防衛省の公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)も含め、官僚機構そのものにゆがみが生じているのではないか。そう思わざるを得ない。
カテゴリー: 社説


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