2018.06.30 08:00

【党首討論】「歴史的使命」投げ出すな

 「党首討論の歴史的使命は終わった」
 今国会2回目の党首討論で、安倍首相はそう述べた。本当に「終わった」のだろうか。
 首相発言は、5月の党首討論で立憲民主党の枝野代表が同じ発言をしたことを逆手に取ったものだ。森友、加計学園の問題などについて、首相は聞かれたことに答えなかったり論点をすり替えたりした。
 今回、枝野氏はその意趣返しをするかのように安倍政権の問題点を指摘する長広舌を振るい、首相に反論時間を与えなかった。疑惑解明に消極的な首相の姿勢に問題はあるにしても、同じ「土俵」に上がってしまっては議論は深まらない。
 党首討論が不要なのではない。求められているのは、互いに議論をかみ合わせる努力や工夫である。
 共産党の志位委員長は加計学園が「実際にはなかった」と釈明した首相との面会を、愛媛県などに報告したことを質問。この作り話によって獣医学部の新設計画が前進し、県や今治市からの補助金が増額されたと主張した。
 加計学園理事長はうそに関与していないのか。うそが獣医学部新設にどう影響したのか。国民の疑念に真摯(しんし)に向き合うなら、県市の担当者や学園理事長の国会招致が必然的に議題に上ってこよう。
 しかし安倍首相は「県や市が主体的に判断することで私はあずかり知らない」と取り合わなかった。これでは議論は進まない。首相のこうした姿勢は今国会を通して一貫しており、党首討論が形骸化している大きな要因となっていよう。
 野党が攻めあぐねる理由には、党首討論の制度上の「欠陥」もある。1回の討論時間が45分と短いことや開催頻度が低いことだ。
 そもそも党首討論は二大政党制の英国がモデル。野党勢力が分散した日本の現状では、野党党首1人当たりの持ち時間はさらに短くなり「時間切れ」が頻発してしまう。
 与野党は2014年に月1回開催で合意したものの、前回5月が1年半ぶりだった。与党側が野党の追及を避けようとしたり、野党側が1回の審議時間がより長い予算委の開催を優先したりするためだ。
 討論時間の延長といった運用改善を棚上げしたまま、「使命を終えた」と断じるのは国民への説明責任を投げ出すに等しい。
 自民党の小泉筆頭副幹事長ら若手有志は、国会改革の一環として党首討論の改善も提言している。2週間に1回の党首討論のほか、閣僚による討論や日中、働いている人がテレビ中継を見やすいよう夜間の開催を求めている。
 開催頻度が高まれば野党党首は交代で出席し、その分、討論時間も増やせよう。議論の充実へ向けて、できることはたくさんあるはずだ。
 もとより一番大切なのは誠実に議論を戦わせ、政治への信頼性を高めていくこと。制度のあり方以上に、政治家の資質が問われている。
カテゴリー: 社説


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