2018.06.25 08:00

【ゲーム障害】総合的な取り組みを急げ

 オンラインゲームやテレビゲームなどをやり過ぎて日常の生活に支障が出る「ゲーム障害」を、世界保健機関(WHO)が依存症の一つとして新たな病気に認定した。
 国際的な標準となる「国際疾病分類」に盛り込まれたことによって、各国で診断や研究が活発になり、早期発見や治療法の確立などにつながるよう期待したい。
 ゲーム障害は、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活よりゲームを優先し、健康を損なうといった問題が起きても続けてしまう特徴がある。家族や社会、学業、仕事などに重大な支障が起き、こうした症状が1年以上続いている場合にゲーム障害と診断される可能性があるという。
 特定の何かに心を奪われ、「やめたくてもやめられない」状態はまさに依存症だ。アルコールや薬物という物質への依存症とは異なり、特定の行為や過程に依存する病気という点ではギャンブル依存症と共通していよう。
 特徴的なのは、ゲーム障害の患者の多くが若者とみられる点だ。少しデータは古いが、2013年に厚生労働省が中高生を対象に実施したインターネット使用実態調査の結果がその一端をうかがわせる。
 国際的な評価尺度に基づき、「満足を得るため、ネットを使う時間をだんだん長くしていかなければならないと感じているか」「ネットのために大切な人間関係などを危うくするようなことがあったか」など8項目を質問した。
 調査の結果、ネットの「病的な使用」が疑われる生徒は8・1%。それを基にした推計で、ネット依存とみられる生徒は全国で約51万8千人に上るとされた。
 その後の5年間にスマートフォンが急速に普及し、多くの面白いゲームが提供されるようになったのは間違いない。ゲーム障害を取り巻く環境がさらに悪化している恐れは否定できない。
 深刻なネット依存が社会問題化している韓国では、政府が以前から対策を進めている。日本でも医療機関の一部などで取り組みが始まっているものの、国としての対応はまだ手付かずといってよい。
 疾病認定を機に厚労省は対策に乗り出す考えだが、まずは患者数や相談件数などの実態把握からになりそうだ。当然のこととはいえ、状況を考えると悠長に構えているわけにはいかないだろう。
 むろん、ゲームをすること自体が悪いのではない。多くの人がスマホなどでゲームを楽しむ大きな流れは変わるまい。専門医が指摘するゲームの依存性に着目するなら、予防の観点も必要になる。ネット利用などについての教育や指導がより重要になるのではないか。
 医療分野に限らない、幅広い取り組みが不可欠だ。先行する外国の知見も参考にしながら、関係機関が総合的な対策の構築に向けて歩みを急ぐよう、強く求めたい。
カテゴリー: 社説


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