2018.06.21 08:00

【延長国会】国民の納得を軽視するな

 国会は7月22日まで会期を32日間延長することを決めた。
 看板法案としてきた働き方改革関連法案や、成長戦略に掲げるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案などを確実に成立させ、9月の自民党総裁選への実績としたい安倍政権の思惑がにじむ。
 ただ、延長国会でより優先されるべき課題は別にありはしないか。
 今国会で立て続けに明らかになった政権の不祥事は、民主主義の基盤を揺るがす性質だ。官僚答弁はうそにまみれ、行政文書は隠蔽(いんぺい)、改ざんされてきた。
 国権の最高機関がここまで冒瀆(ぼうとく)された国会もないだろう。疑惑を明らかにし、民主主義への信頼を取り戻すことこそ与野党問わず最優先で取り組むべき使命だ。
 森友学園への国有地売却問題も全く解明されていない。
 決裁文書の改ざんと約8億円の値引きに絡む疑惑を捜査していた大阪地検は、前国税庁長官らを不起訴とした。財務省は理財局の独断だとして計20人を処分した。
 しかし、問題の核心である改ざんの動機について麻生財務相は「正直分からない」と言い放った。不十分な調査には自民党内にも批判がある。政治責任もあいまいだ。
 共同通信の世論調査では、森友問題は「決着していない」とする回答が78・5%を占めた。国民は納得していない。
 加計学園の獣医学部新設に関しても、「加計ありき」だったのかどうかはいまだやぶの中だ。
 愛媛県は、安倍首相と加計孝太郎理事長が2015年2月に面会したという学園側の説明を記した公文書を公表した。学園側は今になって面会自体の否定に躍起だ。それが本当だとしても、学部新設は虚偽の上に成り立ったことになる。
 疑惑の解明が長引く国会で、法案審議は熟議には程遠い状況が続いてきた。にもかかわらず、数の力で採決の強行を重ねる与党の姿勢は誠実さを欠く。
 働き方改革関連法案は、長時間労働を助長しかねない高度プロフェッショナル制度への懸念が解消されないまま成立が近づいている。
 IR法案も、生煮えのギャンブル依存症対策をはじめ未消化の論点が多いままだ。世論調査では、今国会で成立させる必要はないという回答が69・0%に上った。国民は法案の必要性に理解を深めていない。
 安倍首相は昨秋の衆院選に大勝した後、「謙虚で真摯(しんし)な政権運営に努めていく」と述べた。ところが疑惑の追及を強弁でかわし、強引な手法で重要法案を成立に持ちこむ1強のおごりがまた繰り返されている。
 世論調査では、安倍内閣を支持する人のうち最も多い42・7%が「ほかに適当な人がいない」と答えた。
 延長国会では、安倍政権は丁寧に説明責任を果たすべきだ。消極的な支持も少なくない政権が政治姿勢と法案への納得を軽視しては、主権者の政治不信が増幅しかねない。
カテゴリー: 社説


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