2018.06.20 08:00

【加計理事長会見】国会で丁寧に語るべきだ

 獣医学部の新設を実現するため、愛媛県にうそをついた。首相が介在しているかのような大胆なうそを。その釈明と謝罪にしては、あまりに軽くなかったか。
 学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長がきのう、記者会見を開いた。一連の問題で取材に応じるのは初めてのことだ。
 愛媛県今治市への獣医学部開設を巡り学園側は、加計氏が2015年2月に安倍首相に面会したと、県に「誤った情報」を伝えたことを認めている。事務局長が先月、「学部を何とか形にしたくて、私が(面会したと)言ったのだと思う」として県に謝罪した。
 加計氏は会見で事務局長の対応を陳謝し、面会の事実は「記憶にも記録にもない」と全面否定した。事務局長の減給処分と自らの給与の一部返納も発表したが、それで済む話ではあるまい。
 面会は県作成の文書に記載され、一連の手続きで無視できない存在だったはずだ。県の協力もあって学園は国から認可を得て、今春、獣医学部を開学させた。巨額の補助金も取り付けている。
 偽りを基にした認可や公金支出が許されるはずがない。手続きの正当性を徹底検証し、責任も厳しく問わなければならない。
 加計氏と安倍首相は若いころから友人関係にあるが、加計氏は獣医学部開設に協力を求めたことはないと強調した。「たまたま総理と仲が良かったことで、こういうことが起きたと思う」と述べた。
 だが、理事長の友人だからといって、部下が勝手に一国を代表する首相との面会をでっち上げるようなことがあるのか。説明は理解を得られにくい。何らかの指示があった、もしくは忖度(そんたく)させる環境にあったと見られても仕方がない。
 獣医学部の設置認可を巡っては、文部科学省が内閣府側から「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」とせかされていたことが文書で判明している。
 柳瀬唯夫元首相秘書官が、15年に3度も学園関係者と面会していたことも異例だ。いずれも軌を一にした印象が拭えない。
 突然の記者会見に対しても批判の声が出ている。
 加計氏はこれまで、取材も野党の質問状も事実上拒否してきた。中村時広愛媛県知事が記者会見するよう求めていたとはいえ、このタイミングは大いに疑問だ。国会は会期末を迎えて慌ただしく、社会は大阪の地震の混乱が続いている。
 しかも会見は30分弱で打ち切られた。許認可行政や公金支出の信頼を揺るがす事態を招いているにもかかわらず、だ。
 一連の経緯を含め、真相は依然、闇の中にある。政府も加計氏ももっと説明を尽くすべきだ。加計氏の国会での証人喚問は不可欠だ。場合によっては事務局長の招致も必要だろう。このままうやむやにすることは許されない。
カテゴリー: 社説


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