2018.06.19 08:00

【大阪で震度6弱】警戒緩めず被害抑止を

 大阪府北部を震源とする震度6弱の強い地震が起きた。大阪市などを激しい揺れが襲い、高槻市で通学中だった9歳の女児が倒壊したブロック塀の下敷きになるなど府内で4人が死亡、京都や兵庫も含め多くの負傷者が確認されている。
 発生は午前7時58分ごろで、大都市の通勤通学時間帯に重なり、鉄道など交通機関に大きな影響が出た。停電なども多発し、住宅などの火災や損壊も各地で起きている。
 気象庁は今後1週間ほどは震度6弱程度の揺れが続く可能性を予測している。2年前の熊本地震では震度7の「前震」の2日後に「本震」が起き震災を広げた記憶が新しい。警戒を緩めず、被害を食い止めたい。
 大阪で震度6以上が観測されたのは、1923年に観測態勢が整備されてから初めて。今回の地震は震源の深さ約13キロの「直下型」で、規模はマグニチュード(M)6・1と推定。神戸市有馬温泉から高槻市にかけ東西に走る「有馬―高槻断層帯」付近が震源地とみられる。
 この断層帯周辺には少なくとも過去約3千年に3回の活動跡があり、直近は420年余り前の1596年の慶長伏見地震(M7・5)とされる。政府の地震調査委員会は、30年以内のM7・5程度の地震発生確率を「ほぼ0~0・03%」と予測してきた。
 この低い確率値は熊本地震にも似る。南海トラフ巨大地震などは「30年以内に70%程度」とされるが、発生確率の低さをもって、防災の遅れなどの理由にはできない。
 大阪府北部には複数の活断層が集まっている。1995年の阪神大震災を起こした活断層との関連や、今後も地震を誘発する可能性を指摘する専門家もいる。
 高槻市で死亡した女児を直撃したのは、市立小のプールのブロック塀だった。大阪市東淀川区では道路脇の塀が崩落し、80代の高齢男性が犠牲になった。学校施設の耐震化やブロック塀の倒壊防止は地域防災の優先課題のはずだ。
 安全基準を満たしていたのか。適切な点検や対策が講じられていたのか。詳しい検証が要る。
 茨木市の住宅では80代の男性が本棚の下敷きになり、亡くなった。これまでの震災でも家具類が倒れかかり、住人が圧死する被害が多発している。家具や電化製品の固定は家庭防災の基本だ。その啓発と普及の取り組みを強めたい。
 政府などが詳細な被害の把握を進めているが、被災者の救済や避難者への対応に万全を期し、インフラなどの災害復旧を急ぎたい。災害弱者の心のケアも含め、過去の教訓を生かすべきときだ。大都市直下型がもたらす、震災の新たな防災課題も見つかるだろう。
 南海トラフ巨大地震との関連について、気象庁は今回の地震が「陸のプレートで起きた」ことから「直接影響を与えるとは考えにくい」との見解を示す。だが、予断は禁物だ。備えを再確認したい。
カテゴリー: 社説


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