2018.06.18 08:00

【福島第2廃炉】早急に具体的な道筋示せ

 遅きに失したとはいえ、当然の判断である。早急に具体的な工程表を策定して、実行に移すべきだ。
 東京電力が、福島第2原発の4基全てを廃炉とする方針を初めて福島県に伝えた。
 東日本大震災で炉心溶融事故を起こした第1原発は既に廃炉作業に入っている。実現すれば、福島県内の東電の原発10基が全て廃炉となる。
 第2原発は、第1原発の南約12キロにある。震災発生時は4基とも運転しており、一時的に冷却機能を失ったものの炉心溶融は免れた。
 運転停止は7年3カ月におよぶ。今は第1原発の廃炉に向けた後方支援拠点になっているが、大量の核燃料は保管されている。再稼働への不安は被災住民の帰還を妨げ、県などは強く廃炉を求めてきた。
 第2原発は4基とも運転開始から30年を超えている。仮に原則40年のルールを目前に再稼働を目指しても、新しい規制基準に適合させるには多額の投資が必要になる。もちろん、立地自治体の同意を得られる見通しもない。
 事実上、東電には廃炉しか選択肢はなかった。にもかかわらず経営に影響するとの判断から、あいまいな回答を繰り返し、復興の足かせとなってきた責任は重い。
 東電には廃炉に向けたスケジュールの明示が求められるが、課題は山積している。
 4基の廃炉費用は計2766億円と見込まれている。電力会社は廃炉に必要な費用を解体引当金として電気料金に織り込んでいる。東電は昨年度末時点で、既に1975億円を積み立てているという。
 しかし廃炉作業では、原子炉内の構造物や建屋のコンクリートなど放射性廃棄物が発生。処分などで費用は想定より膨らむ可能性がある。その処分先もまだ決まっていない。
 第1原発の廃炉作業との両立も難題だ。第1では既に1日約5千人が作業しており、人員確保は難航が予想される。いずれも政府や、廃炉になる原発を持つ他の電力会社との連携が求められる。
 東電がなぜ、この時期に廃炉を表明したのか。それには政治的な要素が指摘されている。
 一つは、第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質を含んだ水の処分だ。第2の廃炉表明で、今秋に再選を目指す福島県知事らの協力を取り付け、海洋放出の地元理解を得たいという思惑である。
 さらに、新潟県知事選では与党系新人が当選した。東電は、第1原発の廃炉や賠償など事故対応費約16兆円を抱える。経営再建の柱とする柏崎刈羽原発の再稼働を推し進める意思表示ではないかという見方だ。
 ただし、3・11以降、原発に対する世論は厳しい。安全対策のコストも膨らんでいる。
 未曽有の事故を起こした東電は、廃炉や賠償に責任を果たすことは当然として、原発頼みからの事業転換を求められていることも自覚すべきである。
カテゴリー: 社説


ページトップへ