2018.06.16 08:00

【海洋プラごみ】日本は削減策を率先せよ

 海に投棄されたレジ袋やペットボトルが波などで微粒子状に砕けた、マイクロプラスチックの海洋汚染が地球規模で深刻化している。
 そのプラスチックごみ対策が欧米などで本格化する中、日本でも排出抑制に向け、議員立法の改正海岸漂着物処理推進法が成立した。
 マイクロプラスチックは5ミリ以下の破砕ごみで、化粧品や歯磨きなどに含まれるマイクロビーズもその一種。プラスチックは毒性の強いポリ塩化ビフェニールなどを吸着する性質があり、餌と間違えて食べるなどした魚や海鳥の被害事例が多数報告され、人体への連鎖的な影響にも懸念が強まっている。
 改正法は、プラスチックを材料に使うメーカーにごみの減量や使用自粛を要請する。ただ、強制的な規定はなく、事業者の理解をどう深めていくかが課題になる。
 国連機関などによると、世界の海に流れ込むプラスチックごみは毎年1千万トン前後に上る。漂流域は水深1万メートル以上にも及び、特にマイクロプラスチックは回収が難しく、海流などで広範囲に運ばれ、汚染が拡大している。
 被害が広がる国や地域は、プラスチック製品の規制などに相次いで乗り出している。
 米国では、レジ袋やプラスチック製のストローの使用を禁じ、企業と連携して紙製への転換を図る自治体が増えている。英政府も使い捨てストローなどの販売禁止やレジ袋への課金制度拡充といった方針を打ち出したほか、アフリカ諸国も法的規制に踏み切っている。
 世界各地でプラスチックごみ汚染への危機感が高まり、削減対策が加速する一方で、日本の対応の遅れが目立ってきている。
 日本など先進7カ国(G7)の環境相会合は昨年の成果文書で「地球規模の脅威」と位置付け、対策強化を宣言した。今年の首脳会議ではさらに数値目標を盛り込んだ文書が提案されたが、日本と米国は署名を見送った。
 政府関係者はG7文書の署名を拒否した理由を「産業界や消費者に影響が大きく、準備が整っていない」と釈明するが、国際社会からの理解は到底得られまい。
 日本はレジ袋の使用量が年間300億枚を超える「使い捨て大国」で、周辺の海に年間6万トンのプラスチックごみを流出させているとの試算がある。国内の海などで調べた魚の4割からマイクロプラスチックが検出された調査結果もある。海洋大国でもある日本は対策を先導すべき責任と役割を担うはずだ。
 改正法が努力義務にとどまった背景にも、消極的な政府方針との調整があったのではないか。
 国連は今年、プラスチックごみ対策を検討する専門家組織を立ち上げ、各国に有効策の提言を目指す。法的拘束力を伴う国際条約も視野に入れる。日本は率先して議論に加わり、国際社会の要請に応えていかなければならない。
カテゴリー: 社説


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