2018.06.05 08:00

【文書改ざん処分】麻生氏は辞任に値する

 国会にうそをつき、国民を欺いた責任はこの上なく重い。
 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、財務省が内部調査結果をまとめた。理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が廃棄の「方向性」を決めて主導したと認定した。
 昨年2月、森友問題が国会で取り上げられ、安倍首相が「私や妻が関係していれば、総理も国会議員も辞める」と関与疑惑を否定した。調査結果はこの首相答弁が改ざんのきっかけになったと結論付けた。
 元の文書の「応接録」などには、昭恵首相夫人の名前や国会議員秘書からの照会の記載があった。佐川氏が「外に出すべきではない」と理財局内で指摘し、総務課長らがその意を「廃棄」と酌んだという。
 佐川氏も「記録は残っていない」などと虚偽の説明を重ねることになり、その国会答弁と整合させるため改ざんが繰り返された。調査では、佐川氏らが文書を十分確認しないまま、審議の紛糾を懸念し、国会質問を少なくする目的があったとした。
 首相への忖度(そんたく)がうそを生み、うそを隠すためにうそを塗り重ねていく―。国会の追及を逃れるため、調査権を骨抜きにする。国民を愚弄(ぐろう)する背信行為だ。
 改ざんに関与した理財局内には「虚偽の内容を追加しているわけではない」「本質的な内容は変わらない」といった感覚があったという。公文書管理の規範意識の欠如が甚だしい。国民への説明責任の軽視以外の何物でもない。
 財務省は一連の改ざん・廃棄は理財局限りの独断だったとし、佐川氏を最も重い停職3カ月相当とするなど関係者計20人の処分を決めた。事務次官らには監督責任を問い、麻生財務相は閣僚給与1年分を自主返納するとした。
 国民の理解を得られるだろうか。財務省のみならず、行政府全体の信用を失墜させた。国権の最高機関を1年にわたってだまし続け、審議を空費させた罪は重い。特に、麻生氏は前事務次官のセクハラ問題も含め、財務省組織を統率できていなかったのは明らかだ。
 安倍首相は麻生氏を続投させる方針で、麻生氏も調査結果を受けてなお「私のリーダーシップの下で信頼回復に努める」と言った。国民の納得は得られまい。
 調査によると、土地売却を担当した近畿財務局内には理財局からの改ざんの指示に強い反発があった。だが、その抵抗はねじ伏せられた。「書き換えをさせられた」との内容のメモを残して自殺した財務局職員を追い詰めた組織の責任は重大だ。
 麻生氏は辞任に値する。
 安倍首相は先月、文書改ざんと自らの国会答弁とは関係ないとの認識を国会で示した。調査結果と矛盾する。疑惑はなお晴れていない。佐川氏の動機や、近畿財務局の反対の訴えがなぜ歯止めにならなかったのかも不明だ。国会は審議を仕切り直し、真相を解明する責任がある。
カテゴリー: 社説


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