2018.06.04 14:40

助けて!わんにゃん 高知の動物愛護を追う(1)よっちゃんピンチ

よっちゃんのピンチを伝える吉村義文さんのフェイスブック(本人の了解を得てレイアウトを加工しています)
よっちゃんのピンチを伝える吉村義文さんのフェイスブック(本人の了解を得てレイアウトを加工しています)
第1部 犬編・闘う譲渡ボランティア

 高知県はかつて、人口比の犬猫殺処分率が非常に高く、猫は2003年度から10年連続ワースト1という時代もあったが、ここ数年は汚名返上。特に犬は19匹へと激減した。そこには、生活をなげうって愛護活動に動く人々の努力もある。彼らの知られざる日々を追い、数年後に誕生予定の「こうち動物愛護センター」(仮称)の在り方を考えたい。

命の期限は1週間
 〈3匹殺処分予定! 11月24日以降、いつ殺処分されるかわかりません。飼い主さん探しています! 連絡ください。深夜でも大丈夫です〉

 2017年11月21日、フェイスブック(FB)で宿毛市の愛護活動家、吉村義文さん(51)はSOSを発信した。

 筆者はその中の1匹の写真を見てハッとした。その2カ月半前、高知県中央小動物管理センター(高知市孕東町)で見た「よっちゃん」だった。1年半以上ももらい主を待っている犬がいると聞き、「いずれ紙面で」と思っているうちに、時が過ぎてしまった。

 白毛の雌で推定4歳。人なれした性格から数少ない成犬の「譲渡候補犬」に選ばれ、「幸せ」を待っていたのだが…。高知県中央小動物管理センター職員によると「ストレスがたまったのか、凶暴性が出てきて、誰彼渡せなくなった」という理由だった。

 常時30~40匹の犬と数匹の猫を保護しているセンターは、県内各地から次々運ばれてくるため、押し出される形で殺処分候補になったのだ。

 ◇  ◇ 

 高知県中央小動物管理センターは1981年まで県中央保健所・野犬抑留所という名前の処分場だった。浦戸湾奥の西岸沿い。昔から、中土佐町以東の野良犬猫や迷子犬、不用犬がここに集められガス室で殺され、焼却されてきた。県によると、殺処分ピーク時の1997年度は犬猫合計1万851匹(犬5293匹、猫5558匹)という記録が残っている。

 コンクリート製の古びた建物は、三方を山肌に囲まれ、目の前は高い堤防。冬場は灰色と茶色に包まれ、物寂しい。その中からけたたましい鳴き声が聞こえてくる。「すごい虐待が行われている」と想像してしまうが、実際は「遊んでよ!」「餌ちょうだい!」「散歩して!」と懸命に訴えているのだ。

 四万十市にも分室的存在の中村小動物管理センターがある。両センターが収容した犬猫は2017年度、計789匹。このうち、殺処分(収容中の死は含まず)は717匹(犬19匹、猫698匹)。殺処分数は20年前と比べると、犬は300分の1、猫は8分の1近くに減った。収容数の減少も大きいが、近年の犬の激減ぶりについては、吉村さんの貢献度も大きい。

 ◇  ◇ 

 ところで、彼の住所は宿毛市だ。高知市まで車で2時間半もかかるが、毎週のように両小動物管理センターに通い、スマホで動画撮影。FBに載せ飼い主を募集。連絡が入ると交渉し、何匹か譲渡数がまとまれば関西などへ送り届けている。県内のもらい手は少ないからだ。輸送やマイクロチップ代など実費はもらうが、他はボランティアだ。

 愛護活動にかかわって9年目。一般社会では無名だがFBの「友達」は上限いっぱいの5千人に達し、譲渡先は北海道や沖縄へも広がっている。

 で、よっちゃんはどうなるのか。21日夕、所管の県食品・衛生課は殺処分を「28日午前8時半」と決めた。命の期限は1週間。吉村さんも即座にFBへ上げた。(編集委員・掛水雅彦)

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カテゴリー: 社会助けて!わんにゃん社会


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