2018.05.24 08:00

【森友交渉記録】新文書が暴く疑惑の深さ

 財務省が「廃棄した」と断言したはずの文書に、なぜこれほどの重要事項が書かれていたのか。行政のあまりにでたらめな対応に、開いた口がふさがらない。
 学校法人「森友学園」への国有地売却で財務省が、同省近畿財務局と森友側との交渉記録を、国会に提出した。
 交渉記録は佐川宣寿前国税庁長官が理財局長当時、「適正に廃棄した」としていた。しかし職員が「手控え」として保管していたものなどが残っていた。財務省は佐川氏の答弁に合わせて文書廃棄を進めていたことを認めた。
 それだけでも犯罪的行為だが、交渉記録の内容にも驚く。
 森友学園問題は、財務省が国有地のごみ撤去費用として約8億円もの値引きをして森友側に売却した。学園がこの土地に建設しようとした小学校では一時、安倍昭恵首相夫人が名誉校長を務め、その関与や官僚の忖度(そんたく)の有無が問われている。
 交渉記録には、昭恵夫人付の政府職員だった谷査恵子氏が2回、財務省に問い合わせた際のやりとりが含まれていた。谷氏は「安倍総理夫人の知り合いの方から、優遇を受けられないかと照会があった」と財務省に電話したという。
 そのやりとりは既に明らかになっており、目新しい事実ではない。しかし証拠となる文書の記録が、「廃棄」寸前までいったと考えるとぞっとする。
 昭恵氏が森友学園に「いい土地ですから、前に進めてください」と発言したとの記載もあった。財務省が改ざんする前の文書にもそう記されていた。官僚が文書を改ざんするなど、普通はあり得ない。
 昭恵氏の言動が森友問題に与えた影響を知るには、もはや昭恵氏や関係者を国会に招致し、事情を聴くしかあるまい。
 佐川氏が「記録の廃棄」を言明したのは昨年の国会だ。「メールのやりとりや面会記録なども残っていない」と強調した。だが、そう大見えを切った文書が今回出てきた交渉記録ではないか。
 結果的にでも「虚偽答弁」だった可能性は濃厚だ。佐川氏は国会で、森友側との事前の価格交渉を否定した。だが「売買金額は事前調整に努める」などと記した文書の存在が次々に明らかになった。
 いったいこの間の国会審議は何だったのか、腹立たしい思いにとらわれる。国会は膨大な新文書を詳しく分析し、疑惑の闇に光を当ててほしい。森友問題はまだ何も解明されていない。
 重要文書の廃棄や改ざんがまかり通り、「ない」といっていたものが出てきて批判を浴びる。組織的で大掛かりな不正というほかない。麻生財務相の監督責任も免れないのではないか。
 加計学園、自衛隊日報を加えた三つの問題で、同じような構図を抱える安倍首相も、決してひとごとではないだろう。
カテゴリー: 社説


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