2018.05.22 08:00

【県公文書条例】「共有財産」保護へ議論を

 県が2019年度内の制定を目指す公文書管理条例の内容について、有識者でつくる検討委員会の議論が始まった。
 県は20年度、高知市の県立図書館跡に公文書館を開館する予定。重要な政策決定過程を記録した公文書は「歴史的公文書」と位置付けて同館に保存し、公開する方針だ。
 条例では、歴史的公文書を選別する基準のほか、公文書の廃棄や保管の仕組み、県民の利用請求権などを定める。
 県によると、条例化の検討を機に、現在運用している公文書規程などによるルールも洗い直すことになるという。
 検討委の初会合では、加計学園問題を巡る愛媛県職員の「備忘録」が例に挙がり、組織的に共有すれば公文書に当たるとの意見も出た。
 知事ら県幹部が開く「庁議」の議事録も保存期間を過ぎれば廃棄対象だったが、歴史的に重要ならば保存することなども検討されるという。
 国会では陸上自衛隊の日報や、森友学園への国有地売却に関する財務省の文書改ざんなど、公文書のずさんな管理が相次いで発覚。公文書への信頼が揺らいでいる。
 県の公文書は県民共有の財産であり、「知る権利」を保障するためにも欠かせない資料だ。こうした時期の検討だけに、県の姿勢の明示に向けた議論はより注目されよう。
 総務省によると昨年10月現在、公文書管理条例を制定している自治体は全体の1%にすぎない。東京、鳥取、島根、香川、熊本の5都県や札幌、名古屋など4政令指定都市など21団体にとどまっている。
 このうち12年4月に条例を施行した熊本県は、保存期間を過ぎた文書を廃棄する際は、県民の意見を求めた上、第三者機関が是非を判断する手厚い仕組みだという。
 一方で、議会の審議を必要としない規則などで定めている自治体は約1600市区町村に上った。その40%は保存期間が過ぎた文書の全てを廃棄している。
 内部規定だけでは職員の恣意(しい)的な判断で保存すべき文書が廃棄される恐れも指摘されている。自治体もまた公文書に対する意識がまだまだ低いと言わざるを得ない。
 公文書の管理に関しては、高知県もすねに深い傷を持っている。
 県の闇融資事件が追及された02年には、県職員が「別件闇融資」を起案する公文書を、県情報公開条例に基づく開示請求がありながら破棄、改ざんしていたことが発覚。県民の「知る権利」を根底から否定し、県への不信が高まった。
 公文書の管理と情報公開は、一義的には県民のためであり、同時に職員自らが不当な圧力から身を守るための手段だ。それは前県政から続く宿題でもある。
 11年施行の公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けている。その趣旨を「県」に反映させた議論が望まれる。
カテゴリー: 社説


ページトップへ