2018.05.21 08:00

【地銀の苦境】地域の未来左右しかねず

 経営悪化に苦しむ地方銀行の実態が改めて浮き彫りになった。
 上場する地方銀行80社(持ち株会社含む)の2018年3月期決算は49社が減益か赤字だった。全体の6割強に当たり、四国銀行と高知銀行の県内2社も減益だった。
 背景には、日銀の金融政策で低金利が続き、貸付事業や国債などのもうけが縮小していることがある。そうでなくても、地域は人口減少などによって、企業や個人の資金需要が低下しつつある。
 地銀は地域に密着した金融サービスで、地元企業の活動や住民の暮らしを支えている。その銀行が経営不振となれば、地域の経済や振興をも左右しかねない。
 19年3月期も県内2社を含む52社が減益を見込んでいる。この先も厳しい状況が続く恐れがあり、注意深く見守る必要がありそうだ。
 地銀の利益の縮小は、80社の純損益の合計額が顕著に示している。16年3月期は約1・2兆円あったが、18年3月期は約9800億円にまで縮小している。19年3月期も同様に1兆円を割り込む見通しだ。
 全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は記者会見で、地銀が置かれた状況を「慢性ストレス」だと訴えた。日銀への不満と、打開策の見えないことへのはがゆさがにじみ出ている。
 日銀は黒田総裁の就任後、安倍政権のアベノミクスと連携し、大規模な金融緩和を導入。金融機関が日銀に預ける資金の一部をマイナス金利にする政策も打ち出した。資金をため置かずに融資や投資に回させ、好循環につなげる狙いがある。
 だが、地方の資金需要が衰退する中、低金利の環境で利益を出すのは簡単ではない。結果、返済能力に疑問符が付く企業や個人にまで過剰融資する銀行が出てきた。
 静岡県などが地盤のスルガ銀行はシェアハウスの物件所有者に無秩序ともいえる融資をしていた。「地方銀行の優等生」と評価されてきた銀行だが、ゆがんだ利益至上主義に走ったことになる。責任は重いが、有力地銀がそこまで追い込まれている証しでもあろう。
 金融庁は地方の金融システムを維持するため、地銀の経営改善へ、再編・統合も後押ししている。既に県域を越えた統合も進んでいる。
 一方で公正取引委員会は、長崎県が地盤の十八銀行と、ふくおかフィナンシャルグループの経営統合に対し、事実上の「待った」をかけた。統合すれば同県内のシェアが高くなりすぎることを重く見た。
 銀行自身の経営努力が十分かどうかは問われなければならないが、日銀や国の政策の矛盾が地銀を苦しめている面は否定できない。このままでは地域を支える金融機関の体力がむしばまれ続け、地方の衰退に拍車がかかりかねない。
 地方にとって金融機関の体制はどうあるべきか。それぞれの地域の事情も踏まえ、真剣に議論していく必要がある。
カテゴリー: 社説


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