2018.05.19 08:00

【アメフット反則】日大監督は自ら説明を

 あってはならない悪質プレーだ。反則に見せ掛けた意図的な暴力行為にすら映る。
 アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦で、日大の守備選手が、パスを投げ終えた関学大のクオーターバック(QB)に背後から激しくタックルし、腰にけがを負わせた。無防備状態だったQBは体が後ろに折れ曲がるようになって突き倒された。
 攻撃の司令塔であるQBはマークされやすいとはいえ、日大選手のタックルは必要性が見受けられず、危険極まりない反則プレーだ。
 この日大選手はQBが負傷退場した後も2回の粗暴な反則を繰り返し、退場処分になった。故意さえもうかがわせる。
 関東学生連盟は、この反則タックルを公式規則の「(無防備な選手への)ひどいパーソナルファウル」と判断。選手を対外試合出場禁止に、内田正人監督を厳重注意処分とした。だが、危険な反則を犯した理由は判然としない。
 日大アメフット部は1940年創部で、大学日本一を決する「甲子園ボウル」で21回の優勝を誇る名門。関西の強豪、関学大と東西の両雄とされ、定期戦は51回続いてきた。
 その伝統の対戦で悪質行為が起きた。危険なタックルをした日大選手が、内田監督からQBを狙った反則を指示され、それを条件に試合の出場機会を与えられたと周囲に話していたという。選手はチーム内の激しい競争で精神的に追い込まれていたとの指摘もある。
 だが、日大は関学大の抗議文への回答書で「乱暴行為を教えることは全くない」と否定した上で「選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きた」と釈明した。厳しい指導で知られる内田監督の指示を選手が誤解したと言わんばかりだ。
 そんな文書だけの一方的な説明で納得を得られるはずもない。選手の言い分も示されていない。相手にけがを負わせ、フェアプレー精神を汚す反則での退場にもかかわらず、ベンチに戻った選手に対し監督をはじめ誰も注意することなく、むしろねぎらっているような様子の撮影映像が残っている。
 この反則行為をアメフットだけの特異例と捉えるわけにはいかない。スポーツ全体に与えた衝撃は大きい。日大は公開の場で説明すべきであり、何よりも内田監督が自ら疑問に答えなければならない。内田監督は日大の体育部関係の責任者で、人事担当の常務理事でもあるだけに説明責任は重い。
 過剰な勝利至上主義に陥り、暴力が肯定されるような体質が巣食っていなかったか。そんな疑念も向けられている。
 スポーツ庁は大学スポーツの安全対策などに取り組む統括組織の創設を計画している。アメフット事故の多発を受けて発足した全米大学体育協会を参考に構想している。日本のスポーツ競技の在り方を再検証する機会にもしてほしい。
カテゴリー: 社説


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