2018.05.17 08:00

【女性の政治進出】社会の意識から変えよう

 国会や地方議会の女性議員を増やすための「政治分野の男女共同参画推進法」が参院本会議で可決され、成立した。
 衆院選や参院選、地方議会選挙で男女の立候補者数を「できる限り均等」にすることを目指す。
 女性の参政権が認められて70年以上がたつが、女性議員の割合は国、地方ともに著しく低いのが現状だ。国際比較でも歴然とした差がある。女性の政界進出の遅れや共同参画社会の未熟さを象徴するものだ。
 新法は、男女が共同して参画する「民主政治の発展」を目的に掲げている。罰則のない努力義務ではあるが、全会一致で成立した。各党などには積極的な対応が求められる。
 条文は、政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど「自主的に取り組むよう努める」ことも規定した。国や自治体には、国内外の実態調査や啓発活動、人材育成などを要請している。
 海外では1980年代から、政治分野の男女均等化が進んできた。国によっては法で候補者や議席に男女の比率を定めたり、政党が自主的に均等化に取り組んだりしている。
 国会議員の国際組織「列国議会同盟」(本部ジュネーブ)によると、昨年の国会議員(下院もしくは一院制)の平均女性比率は23・6%と、4人に1人に近い。先進7カ国ではフランスが約40%に上る。
 これに対し日本の衆院は10・1%で、世界でも下位集団に位置する。先進7カ国では最下位である。
 都道府県議会の状況も厳しい。総務省によると、2016年末時点の女性議員割合は全国平均9・9%と1割に満たない。高知県はその平均も大きく下回る5・4%にとどまっている。
 新法が超党派の議員立法でようやく成立し、努力義務にとどまったことも、日本の政界の意識を示すものだろう。
 過去、女性を「産む機械」と発言した国会議員がいた。都議会では、男性議員が質問中の女性議員に「産めないのか」などとやじを飛ばし、批判された。最近は財務省のセクハラ問題で政府中枢の人権感覚が疑われている。女性議員が少ない現実と問題の根はつながっていよう。
 政官界だけの問題ではない。女性への偏見や女性の社会進出の遅れは社会全体の課題といえる。スイスの国際機関が発表した17年版「男女格差報告」で、日本の男女の平等さは144カ国中114位だった。企業の女性の管理職登用も遅々としている。
 子どもが保育園に入れず、女性が仕事復帰を諦めるケースが後を絶たない。子育てや家事は男性より女性の負担が大きい傾向にある。
 こうした問題が解決しなければ、女性の議員候補者も増えまい。新法の効果には不安も拭えないが、重要な一歩ではある。社会の意識から変えていくきっかけにしたい。
 もちろん先達となるべきは政界や官界の意識改革であろう。関係機関の姿勢が問われる。
カテゴリー: 社説


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