2018.05.12 08:00

【セクハラ暴言】麻生氏自身の進退を問う

 セクハラは人の尊厳を傷つける人権侵害だと、どうしても理解できないのではないか。福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題を巡り、麻生太郎財務相が繰り返す非常識な発言にあぜんとする。
 麻生氏は11日の衆院財務金融委員会で、福田氏が「女性記者にはめられたとの見方がある。そういう可能性は否定できない」と改めて言及。強い批判を浴びて、撤回に追い込まれた。
 副総理を兼ね安倍政権のナンバー2とされる権力者が国会の場で行った発言だ。被害者に根拠のない疑いの目が向けられないとも限らない。これでは二次被害を拡大させる。
 財務省は4月末、福田氏の行為をセクハラと認定して処分した。ところが麻生氏は処分後も、「セクハラ罪という罪はない」と福田氏を擁護する発言を繰り返している。
 一連の発言は、処分の最高責任者である財務相自ら省の認定を否定しているとも受け取られかねない。
 財務省は、被害を受けた女性社員が所属するテレビ朝日が求めている再発防止のための調査も打ち切っている。福田氏の処分はやはり、セクハラという人権侵害と向き合わず、政権へのダメージを避けるためだけに早々の幕引きを図ったとみられても仕方あるまい。
 問題が発覚した当初から、財務省はセクハラへの認識の低さや人権意識の欠如を露呈してきた。外部調査も財務省の顧問弁護士に委託。女性記者に名乗り出るよう呼び掛けるなど、被害者保護の観点を著しく欠いた対応に終始した。
 問題を受けて財務省は先日、幹部職員らを対象にしたセクハラ防止研修を開いている。
 講師の女性弁護士は「財務省の感覚と世の中の常識が非常にずれている」「対応によっては刑事事件にもなり得る大きな不祥事だと認識していただきたい」と強調した。
 当然の指摘だ。この研修を最も受けなければならなかったのは最高責任者の麻生氏ではないか。
 「女性活躍」を看板政策の一つに掲げる安倍政権下では、福田氏の処分後も、与党から女性軽視を通り越して蔑視ではないかともとれる発言が他にも出ている。
 自民党の加藤寛治衆院議員は、結婚披露宴に出席した際に「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼び掛けていると紹介。出席した女性議員らに「これこそセクハラだ」と不快感を示され、撤回している。
 麻生氏に限らない、党に染み付いた古い体質だとすれば深刻だ。「女性活躍」の本気度を改めて疑う。
 人事院規則は「各省庁の長はセクハラ防止や排除に必要な措置を講じなければならない」としている。「なぜ」と思うほど常識を欠く暴言を繰り返す麻生氏の「長」としての資質を疑わざるを得ない。
 国政の中枢を担う者としての資質も同様だ。麻生氏は進退を検討すべきである。
カテゴリー: 社説


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