2018.05.11 08:00

【柳瀬氏国会招致】「加計」特別扱い明らかだ

 これが「特別扱い」でなくて何なのか。解明すべき疑惑は増えるばかりだ。
 国家戦略特区への学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、特区担当だった柳瀬唯夫元首相秘書官が2015年、学部申請の前に学園関係者と首相官邸で3回にわたり面会していたことを認めた。国会の参考人招致で答えた。
 柳瀬氏は13年に首相の別荘で加計孝太郎理事長や学園職員と会い、首相と理事長が友人関係にあることを知っていたことも明らかにした。ただ、面会について首相には報告しなかったとし、計画への首相の指示や関与も否定した。
 首相側近の職務で、安倍政権が規制緩和の看板政策とうたった国家戦略特区の担当でありながら、面会の事実を報告しないということが常識的にあり得るだろうか。17年1月に初めて学園の計画を知ったとする安倍首相の主張の不自然さを改めて際立たせる。
 面談は15年2~3月ごろと、同4月、同6月上旬ごろの3回。学園側から「上京するから会いたい」との申し出を受け面会し、学部計画を知らされたという。理事長が首相の友人ということへの配慮から面会に応じたのは間違いない。
 柳瀬氏は面会と特区選定は関係ないと釈明する。だが、特区申請の主体は自治体である愛媛県と今治市である。その自治体を飛び越して、審査を受ける立場の特定の事業者と、首相側近の特区担当者が直接やりとりする。行政プロセスとして公平公正だろうか。
 この面談後に今治市が特区を申請し、約50年ぶりの獣医学部新設が認可された。柳瀬氏は加計学園以外の大学などとは個別に会っていない。国民目線から見れば、極めて不透明、不公平であり、「加計ありき」の疑念は強まる。
 昨年7月の国会で柳瀬氏は、愛媛県と今治市の職員との面会を「記憶の限り、会っていない」と否定した。だが今年4月、愛媛県の職員が15年4月に官邸で面会した内容を記載した文書などが見つかり、答弁の真偽が問われることになった。
 今回も柳瀬氏は「(学園関係者の)随行者の中にいたかもしれないが、分からない」と従来の答弁を踏襲。愛媛文書にある「首相案件」などの発言も否定し、「特別扱いはない」と強調した。
 では、加計理事長との面識や学園関係者との面会をこれまで明かさなかったのはなぜなのか。やましさがあったと見られても仕方あるまい。それこそが首相への「忖度(そんたく)」ではないか。
 官邸側に面会の記録文書がないというならなおさら、柳瀬氏だけの一方的な証言で真相解明とはならない。加計理事長をはじめ、柳瀬氏と面会した学園関係者、愛媛県と今治市の職員らに国会で説明を求めるべきだ。
 水掛け論は許されない。当然、証人喚問も視野に入ってくる。
カテゴリー: 社説


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