2018.05.10 08:00

【日中韓首脳会談】シャトル外交につなげよ

 中国の李克強首相と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が来日し、日中韓の首脳会談が開かれた。対北朝鮮や経済分野の連携などを確認した。
 3カ国の首脳会談は2015年11月のソウル以来だが、今回は東京で開かれたことに意義があろう。歴史認識や領有権問題などで関係が悪化し、中韓両首脳の来日は長らく途絶えていた。
 中国首脳の来日は約7年ぶりで、習近平政権下では初めてだ。習氏の来日実現にも望みをつないだ。韓国大統領も約6年5カ月ぶりとなる。朴槿恵(パククネ)前大統領の在任中は一度も実現しなかった。
 日中はことし、平和友好条約締結40周年の節目だ。日韓も、未来志向の関係を目指す「日韓共同宣言」から20年を迎える。
 北朝鮮問題でも明らかなように、東アジアの安定、発展には日中韓の関係強化が不可欠だ。今回の会談を首脳会談の連年開催や首脳が相互訪問する「シャトル外交」の推進につなげたい。
 会談で3首脳は、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り「完全な非核化」へ連携することで一致した。北朝鮮の非核化の重要性を3カ国で改めて確認し合ったことになる。
 ところが、その具体策は会談後の共同記者発表でも明らかにされなかった。安倍首相が訴えた大量破壊兵器と弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な方法での廃棄も、一致を見たとは言い難い。
 9日午前の会談を受けた共同宣言が文言調整に長い時間を要したことも、各国の立ち位置の違いを示していよう。
 日本はそもそも、北朝鮮が非核化への具体的な行動を取るまで最大限の圧力を維持する立場だ。これに対し中国は対話重視の姿勢を取る。
 米朝首脳会談をにらんでのことだろう。中朝は最近、立て続けに首脳会談を開くなど関係を緊密化させている。中国が北朝鮮の事実上の後ろ盾として影響力を行使しようとしているのは明らかだ。
 韓国は同じ民族である南北の統一という悲願がある。先月、10年半ぶりに開かれた南北首脳会談では、休戦協定の平和協定への転換も論議された。
 中韓のこうした北朝鮮との直接的な関わりと比べ、日朝関係は脆弱(ぜいじゃく)さが否めない。拉致問題の早期解決という大きな課題があるにもかかわらず、だ。
 非核化をちらつかせる北朝鮮の本音は見えにくく、警戒が要る。一方で、対話の機運をつぶしてはならないのも事実だ。
 米中韓の対北朝鮮の主導権争いは今後さらに激しくなるだろう。日本は蚊帳の外に置かれないためにも、中韓との連携や意思疎通をしっかりと図る必要がある。
 シャトル外交を強化することで、自由貿易協定(FTA)といった経済分野の協力も進むはずだ。領有権問題などの緊張緩和にも一定の道が開けよう。
カテゴリー: 社説


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