2018.05.09 08:00

【フェイスブック】個人情報の扱い方に警鐘

 米交流サイト大手フェイスブック(FB)への批判が強まっている。研究者が学術目的で取得した利用者の個人情報が流出し、不正に利用された疑いがあるからだ。
 流出した情報は米国在住者を中心に最大8700万人分にも上るという。インターネット社会における個人情報のリスクは以前から指摘されてきたが、改めて警鐘を鳴らすものといえそうだ。
 FBのサイトはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の代表的な存在だ。趣味などが共通する登録者同士が交流する。
 利用者は名前や生年月日を含むさまざまな個人情報を登録し、それを基に仲間を増やしていく。画像や動画が投稿でき、登録者が開発したさまざまなプログラム(アプリ)も利用できる。無料だ。
 2006年に一般利用が始まり、いまや世界で22億人、日本でも2800万人が利用するといわれる。当然、FBには膨大な個人情報が蓄積されている。
 事件が衝撃を与えているのは、一般的な個人情報流出とは性質を異にすることだ。
 アプリを開発した英国の研究者がアプリ利用者らの情報を入手。正規の手続きを経た取得だったが、情報は16年の米国大統領選でトランプ陣営を支援した政治コンサルティング会社に流れた。
 FB関係者が流出させたわけではないが、情報の取り扱いに欠陥があったというしかない。最高経営責任者のザッカーバーグ氏は米上院の公聴会で謝罪し、「FBは理想主義で楽観主義の会社だ」と述べた。
 悪意の利用者が情報を目的外に使うことへの危機感が乏しかったというわけだ。FBは15年段階で流出を把握していたが、十分な対応を取っていなかったことも判明している。これが世界最大のIT(情報技術)企業の実態である。
 ビジネスモデルも検証する必要があろう。サイトを無料で利用できるのにはからくりがある。
 FB側は登録された利用者の情報や、FBサイトを介したウェブサイトの閲覧履歴などを生かして広告収入につなげているのだ。利用者の好みを割り出し、効果的に広告を配信している。インターネット検索大手グーグルも似た仕組みを持つ。
 利用者は、個人情報を提供することによってサービスを享受しているといえる。問題は、自分の情報が何に、どのように利用されているのか利用者が把握できなくなっていることだ。こうした事実を十分認識せず利用している人も多い。
 ザッカーバーグ氏は対策として、ウェブサイトの閲覧履歴を利用者が消去できる新機能を導入する方針を明らかにした。効果は未知数だが、今後も利用者の保護へ真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 ネット社会はリスクにも高い認識が求められる。個人情報をどう取り扱うのか、誰の責任で守るのか。根本的な問いが投げ掛けられている。
カテゴリー: 社説


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