2018.05.05 08:00

【こどもの日】住みやすい地域を語ろう

 近くの保育園の子どもたちだろうか。県庁周辺で保育士さんたちが引っ張るリヤカーに園児たちがたくさん乗って、わいわいと通り過ぎていく風景をよく見る。
 高知市の川べりを散歩していると、短パンにTシャツを着たスポーツ少年団の小学生たちが「おはようございます!」とあいさつして、元気よく追い抜いていく。
 子どもたちの輝くような笑顔は、いつの時代もまぶしい。 
 今年3月、気になる意識調査の結果が本紙に載った。子どもの将来を楽観視している日本の親は28%。調査した29カ国で最低だったという。7割前後が楽観視しているフィンランドや米国とは対照的だ。
 きょうは平成最後の「こどもの日」。私たちは、子どもたちが生きやすい社会を用意できているだろうか、と考える。
 少子化にもかかわらず、認可保育施設の入所を希望しても入れない待機児童は昨秋、全国で5万5千人を超えた。共働き世帯が増えて保育需要が高まる一方で、施設や保育士の確保が間に合っていない。
 全国の小中高、特別支援学校が2016年度に認知したいじめは32万3808件と過去最多になった。身近になった会員制交流サイト(SNS)での中傷、嫌がらせの件数も増えている。
 そのSNSをきっかけに、性犯罪などの被害に遭った18歳未満の子どもも昨年は1813人と過去最多になった。
 貧困の連鎖も深刻だ。
 平均的所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は15年時点で13・9%。とりわけ、ひとり親家庭の貧困率は50%を超えている。
 高知県が昨年公表した調査では、進学希望を「高校まで」とした「生活困難世帯」の中高生が、それ以外の世帯の約1・8倍に上った。
 貧困が生む教育機会の不平等、格差を許す社会であってはならない。
 行政も手をこまねいているわけではないだろう。時代が求めるニーズや、新たな危険が生まれるスピードに施策が追い付いていないのだ。
 子どもの数が全国で減っている。高知県はより深刻だ。16年の出生数は初めて5千人を下回った。少子化の中で、県全体の人口もこの4月には71万人を割った。
 子どもたちが住みやすい社会や地域の実現に必要なのは、先に挙げた子どもを取り巻く環境を改善し、充実させることだけではない。
 親が子どもを産み育てるには医療や福祉の安心も欠かせない。雇用の確保やインフラ整備も必要だろう。親も子も住み続けることができ、幸福を感じられる地域づくりは常に行政全部門にまたがる課題だ。
 官民も連携したい。特効薬はないにしても、地道に取り組みたい。 
 人口の減少を緩和できる地域とは何か。たとえ人が減ったとしても、住みやすい地域とは何か。考えるべき時代である。  
カテゴリー: 社説


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