2018.05.02 08:00

【県人口70万人】豊かさ創造へ成果地道に

 高知県の人口減少に歯止めがかからない。県の推計によると、4月1日時点で70万8182人と71万人を割り込み、戦前の1940年の70万9286人を下回った。
 昨年1月に72万人を割ったばかりだ。この10年は毎年7千人前後の減少が続く。来年にも戦後初めて60万人台に落ち込む可能性がある。少子化、高齢化の波にのまれ、地域の体力が奪われていく。
 戦後の高度成長政策のひずみで、地方から都市への人口流出、地域の過疎化が起きた。県人口は1955年の88万人をピークに減少。90年には全国で初めて死亡数が出生数を上回る自然減に陥り、毎年5千人前後で続いている。
 地方の問題だった人口減少は少子高齢化が加速する中で日本全体に広がり、国内総人口は2005年に初めて自然減を記録、07年以降11年連続で減り続いている。東京も昨年、自然減に転じた。
 人口減少の影響もさまざまな分野に及び、急速に顕在化している。年金や医療、介護など社会保障費が増大する半面、財源確保の見通しは厳しさを増す。少子化は深刻な人手不足となって表れ、経済活動の基盤を揺るがす。
 県人口は47都道府県中45位、高齢化率は30%を超え、全国で2番目に高い。人口400人の大川村が昨年、議員の確保難から議会に代わる村総会の研究を提起した背景には、自治体存続への危機感がある。全国の自治体に忍び寄る影だ。
 国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口では、県人口は2045年に50万人を割り、高齢化率は40%を超える。日本の総人口も2千万人減り、東京も減少に転じていく。
 結婚から仕事まで多岐にわたる要因が絡む人口対策は国造りそのものであり、総合的戦略を要するが、国は有効策を打てないまま今に至る。安倍政権の地方創生も国民に効果の実感は乏しい。
 社会保障や経済、産業などの構造転換を図る国の政策と、地域それぞれの事情に合った対策を組み合わせていく必要がある。そのためにも、権限や財源を国から地方に移す分権が一層求められる。
 尾﨑県政は60年の県人口の目標を55万7千人と掲げ、産業振興計画を軸に雇用創出などを実現していく構えだ。市町村も子育て支援や移住促進に力を入れている。
 17年度の県内への移住者は初めて800組を超え、約1200人に上った。そうした成果を地道に積み上げていきたい。地方を目指す移住者らの要請は人口規模だけでは測れない、地域で暮らす新たな価値観や豊かさの創造ではないか。
 県内の未婚者の8割が結婚を望み、理想の子どもの数は2人以上。県外の大学に通う若者の5割が県内での就職を希望する―という県の調査結果もある。これも人口対策の潜在的な可能性だろう。受け皿となる地域づくりを急ぎたい。 
カテゴリー: 社説


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