2018.04.27 08:00

【国民投票法】不備を改め公正な制度に

 国の最高法規である憲法の改正には高いハードルが設けられている。国会が改憲案を発議しても、最終的には国民が投票によって可否を決める。
 その手続きを定めたのが国民投票法だが、市民団体などからは不備が多いという指摘も出ている。改憲論議を急ぐ前に、国民の意思を適正に反映し得る投票ルールに作り直すことが欠かせない。
 国会の発議から投票までには60~180日間の運動期間が設けられるが、運動は原則として自由だ。誰でも署名活動や街頭宣伝などのほか、公選法が禁じている戸別訪問もできる。国民の活発な議論と自由な発言を促すことを狙いに、規制は最小限にとどめた。
 例外はテレビCMだ。投票14日前から賛成、反対への投票を呼び掛けるのを禁止する規制を設けている。14日前は期日前投票が始まる日で、大きな影響力を持つテレビCMをなくして、冷静に判断してもらおうということのようだ。
 もっとも、禁止前は自由にCMを流せるわけだ。テレビCMは高額だから、資金力のある側が圧倒的に有利といってよい。チラシやポスターなど他の広告・宣伝も含めて、運動費に制限はない。
 資金力が投票行動に影響を及ぼしかねない危うさがある。市民団体からはCMや運動費の制限を求める声が上がり、立憲民主党などはCM規制などを主張している。活発で自由な議論は大切にするにせよ、運動費に上限を設けるといった何らかの対応は必要だろう。
 改憲案承認の要件についても議論がある。国民投票法は有効投票総数の過半数の賛成で承認されると定めている。例えば投票率が30%で、うち半数を少し上回る人が賛成に投じた場合、全有権者の15%程度の賛成で改憲が成立することになる。
 これを国民の意思とみなすことには疑問が生じるだろう。一定の投票率に達しないと投票そのものを不成立とする最低投票率を導入すればよいが、国民投票法案の議論段階から続いている難問でもある。
 海外では各国それぞれに知恵を絞っている。英国やフランスは有料のテレビCMを禁止し、英国では運動費に上限がある。韓国やロシアは有権者の過半数の最低投票率を設けている。デンマークなどのように、有権者の一定割合の賛成がなければ不成立となる「最低絶対得票率」を導入している国もある。
 このほか、国民投票と参院選などの国政選挙が同時に実施されてもよいのかという問題もある。改憲の賛否と政権選択が結び付き、冷静な判断ができなくなる恐れなどが小さくないからだ。
 改憲の最終的な決定権を持つ国民が、国民投票の結果に納得できるかどうか。それが最も重要な点だ。そのためには国民が信頼して投票できる公正なルールが欠かせない。前のめりの改憲論議を排し、与野党がしっかりと議論を重ねてほしい。
カテゴリー: 社説


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