2018.04.24 08:00

【野党の新党構想】まず理念と政策を磨け

 希望の党と民進党の新党協議が大詰めを迎えている。24日にも新党名を決めるという。
 国会は今、森友、加計両学園の問題や自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)などを巡って新事実が次々に発覚。安倍政権に対する批判が高まっている。
 共同通信が今月中旬に行った世論調査でも、安倍内閣の支持率は37%と低落傾向にある。それにもかかわらず、希望、民進両党の政党支持率は1%台と上向いていない。
 政権批判の受け皿になるべき野党の中でも、希望、民進両党は、民主党政権時代に国民に与えた失望を打ち消せていない。さらに昨秋の衆院選を前に理念を欠いた合流が失敗し、一瞬でしぼんだ国民の期待も回復していないのが現状だ。
 新党構想は、このままでは来年の統一地方選や参院選を戦えないという判断だろう。これ以上の労組票分散を避けたいという連合の意向も反映している。
 ただし、政党の命である政治理念と政策の議論は十分なのか。
 そもそも民進勢力の分裂は、衆院選前に希望の党が民進党議員の一部を排除したことから始まった。踏み絵となったのが安全保障関連法だ。
 新党の基本政策骨子案では、安保関連法について「違憲とされる部分を削除することを含め、必要な見直しを行う」としている。
 希望の党は衆院選公約で保守票を意識し、「憲法にのっとり適切に運用する」と容認の姿勢を鮮明にした。一方、民進党はこれまで「白紙撤回」を主張してきた。
 新党協議会では骨子案の「削除」を「白紙撤回」に修正したが、それでも両党の主張の間を取った「玉虫色」の印象は拭えない。
 「原発ゼロ」に向けても、骨子案では目標年限や再稼働の賛否に触れていなかった。民進党内からの要求でようやく2030年代と年限を明記することになった。
 両党内では、性急さに反発した離党や分党の動きが続いている。たとえ政策論議が未消化のまま元のさやに戻ったとしても、新党はまたも寄り合い所帯となり、党内に路線対立を抱え込みかねない。
 安倍政権批判の受け皿となり、政権交代を視野に入れると言うのならば、どういう社会を目指すのか、提示が欠かせない。アベノミクスに代わる経済政策も含め、国民が政権を任せるに足ると思えるだけの理念や政策を磨くべきだ。
 野党6党は今、政権の疑惑を追及し、証人喚問や財務相辞任の要求などで足並みをそろえている。その延長線上には参院選での連携、選挙協力も見えてこよう。しかし、新党の曖昧さが共闘に影を落とせば、また「1強政治」を利することにもなりかねない。
 世論調査では、安倍内閣を支持する人の45%が「ほかに適当な人がいない」と消極的な理由を挙げている。失政に対する批判の受け皿がなければ、民主主義は機能しない。野党の存在感が問われている。
カテゴリー: 社説


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