2018.04.20 08:00

【日米首脳会談】同盟のジレンマは根深い

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が対話路線に転換後、激動する半島情勢を受けて、安倍首相とトランプ米大統領が2日間にわたり、米国で首脳会談を行った。
 金氏は既に中国を電撃訪問し、習近平国家主席と会談。今月27日に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と南北首脳会談を開くほか、6月上旬までにはトランプ氏との会談も見込まれている。
 こうした慌ただしい動きに対応するために、日本政府は日米両トップによる会談を設ける必要があった。日米同盟の緊密さを確認し、北朝鮮核・ミサイルの完全廃棄を確かなものにしなければならない。
 両首脳は会談で、北朝鮮が検証可能で不可逆的な形で非核化するまで、最大限の圧力をかけ続けることを再確認した。圧力路線は2人の持論でもある。
 日朝間の懸案である拉致問題について、トランプ氏は米朝首脳会談で取り上げると約束した。安倍首相にとっては心強い限りだろうが、成果を誇るのは早計だろう。
 「米国第一」が政治信条のトランプ氏が、拉致問題解決にどれだけ本腰を入れるかは予測できない。
 「米朝首脳会談に実りがないと思えば会談には行かない。会談に行っても、実りがないと思えば打ち切る」。状況次第で会談が実現しない可能性も示唆する発言は、日本の関係者をも不安にさせる。
 一方でトランプ氏は、通商分野で日本に対する強硬姿勢を鮮明に押し出してきた。
 日本との貿易不均衡に不満を持つトランプ氏は、環太平洋連携協定(TPP)から離脱した。米国が志向するのは、日本の輸入拡大が見込める2国間の自由貿易協定(FTA)だ。
 「一対一の交渉を望む」。トランプ氏の言葉は、対日貿易赤字の是正に向け、得意の交渉術に持ち込もうという狙いが透けて見える。安倍首相はTPPが「最善」として抵抗したが、結局、2国間の新たな協議開始で押し切られた。
 米国が最近打ち出した鉄鋼、アルミニウムの高関税による輸入制限についても同じことが言える。この問題では欧州連合(EU)やカナダ、韓国などの同盟国は暫定的に関税の適用除外になっているが、日本は含まれていない。
 日本も適用除外とするよう、要請をするにはした。だがこれも日米の協議で合意に達しないと、輸入制限は除外しないと一蹴された。
 米国の姿勢はあまりにも独善的で、一方的ではないか。もっともトランプ氏は、次期国務長官に就任するポンペオ中央情報局(CIA)長官を極秘に訪朝させ、米朝首脳会談の地ならしをしていた。用意周到である。
 半面、日朝間のパイプは細く、交渉当事者の米国に頼らざるを得ない面がある。その結果、両国の緊密さをアピールするはずの会談が、隔たりを浮き彫りにした。日米同盟のジレンマは根深い。
カテゴリー: 社説


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