2018.04.17 08:00

【熊本地震2年】復興にも問われる地域力

 熊本地震から2年がたった。被災地は復興のつち音が響くが、住民の心の傷はまだ深いことだろう。
 2016年4月、九州中部は震度7の激しい揺れに2度見舞われた。熊本、大分両県で20万棟以上が被災し、土砂崩れも起きた。
 被害が集中した熊本県では、地震が直接的な原因で50人が亡くなったが、犠牲者はそれにとどまらない。避難生活などで体調を崩すなどして亡くなった「震災関連死」が209人に達している。
 地震から2カ月後に発生した豪雨の犠牲者5人も関連が認められ、同県内の死者は計264人に上る。被害の大きさを改めて感じる。
 2年を迎えた被災地では、各地で追悼式が開かれ、遺族や行政関係者が犠牲者に祈りをささげ、郷土の復興を誓った。一刻も早い地域の再興を願わずにいられない。国の一層の支援強化も求めたい。
 熊本県内では3万8千人以上がいまも仮住まいの生活にある。プレハブなどの仮設住宅や行政が民間の賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設」などに暮らす。
 近く、多くの人が2年の入居期限を迎えるが、自立は見通せないのが実情だ。自宅の再建を決めても、折からの建設業界の人材不足によって着工できなかったり、建築費が高騰したりしている。自力再建できない被災者向けの災害公営住宅の建設も同様だ。
 蒲島郁夫熊本県知事が強調するように、長く住み続けられる家が確保できなければ「真の心の復興」は難しかろう。東日本大震災の被災地も同じである。
 人手不足の背景には、20年の東京五輪・パラリンピックに向けた建設需要の高まりもありそうだ。被災地の復興に逆行するような大会であってはならない。人材の確保や配分について官民で議論を急ぎたい。
 自然災害に向き合うには住民同士の結束が欠かせない。多くの事例が示すように、発生時の救助や避難生活でも地域の力が問われる。復興も同様であることを熊本地震は示している。
 大半の家屋が全壊した西原村の集落では、先祖代々の土地で復興を目指すか、集団移転するかで住民が一時、分裂状態に陥った。難しい局面の中、話し合いが続き、地元の復興計画がまとまったことで残る意向を示す住民が増えたという。
 益城(ましき)町は防災に配慮した区画整理計画をまとめた。地権者約410人のうち約8割が計画に賛同したが、成否は、各住民の自宅再建が具体的に進むかどうかが鍵を握りそうだ。
 仮設住宅の「孤独死」も問題になっている。仮住まいを脱することができたとしても、元の地域コミュニティーに戻れるとは限らない。官民で新たな地域づくりへの努力が欠かせない。
 災害からの復興をどう進めるかは地方の存亡にもかかわる問題だ。南海トラフ地震が想定される高知県も人ごとではない。

カテゴリー: 社説


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