2018.04.16 08:00

【再生エネ】「主力電源」の中身問う

 経済産業省の有識者会議が2050年のエネルギー戦略について提言をまとめた。
 最大の特長は、太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーの位置付けを高めたことだ。「主力電源化を目指す」と明記した。
 地球温暖化の防止に向けた世界的な脱炭素化の取り組みや、東京電力福島第1原発事故を教訓にした脱原発の要請を踏まえた。当然の姿勢であろう。
 現行のエネルギー基本計画(14年策定)は原発事故を踏まえ、「原発依存度を可能な限り低減する」とした一方で、原子力を「重要なベースロード電源」と位置付けている。
 政府が15年に決めた30年度の電源構成比率でも、原発が「20~22%」、火力が「56%」であるのに対し、再生可能エネルギーは「22~24%」にとどまっている。欧州などの環境先進国に比べ、脱原発、脱炭素化の姿勢は弱かった。
 日本は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で50年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げている。再生可能エネルギーの拡大は避けて通れない状況だ。
 問題は、「主力電源」とはどの程度の比率を指すのか、提言では明らかにされていないことである。数値目標も記されていない。原子力や火力についても同様だ。
 提言は、原子力について「依存度を軽減するとの方針は堅持する」としつつ、「脱炭素化の選択肢」とも指摘した。原発の安全性向上や廃炉に向け、人材や技術を強化する必要性も説いている。
 火力も、天候によって発電量が変動する再生可能エネルギーを補完する役割があることを強調。開発の継続を盛り込んだ。
 これでは全方位型のエネルギー戦略とも解釈できる。人材や技術への投資が必要なことは分かるが、進め方を間違えば、原子力や火力を長期にわたって温存することになりかねない。
 原発は福島第1原発事故の後、建設も維持も巨費を要するようになった。何より、ひとたび事故が起きれば取り返しのつかない被害を生む。火力は導入や維持は難しくないが、環境への負荷が大き過ぎる。
 もちろん、再生可能エネルギーにも課題は多い。分散型で小規模なため、短期的にはコストが高くなる。固定価格買い取り制度のような補助がなくても採算が取れるようにしなければならない。
 ただ、技術が進んでコストは下がりつつある。蓄電技術が進めば安定供給にも道が開けよう。
 提言は、可能性と不確実性を踏まえ、エネルギー政策に「総力戦」を求めている。政府は提言を現在策定中の新しいエネルギー基本計画に反映させる方針だ。
 問われるのはやはり立ち位置であろう。脱原発、脱炭素化を前提にした総力戦でなければならない。政府は国民にも国際社会に理解される具体的な道筋を示すべきだ。
カテゴリー: 社説


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