2018.04.16 08:00

小社会 「私は人を憎んでなんかいられない。私にはそんな…

 「私は人を憎んでなんかいられない。私にはそんな暇はない」。黒沢明監督の名品「生きる」に出てくる日本映画史上、屈指の名せりふを引いた。主人公である市役所の市民課長の言葉だ。

 故・志村喬演じる課長はある日、がんで余命いくばくもないことを知る。一寸の時を惜しんで何に奔走するかといえば、貧しい住民たちのために公園をつくること。残る人生、役所の縄張り意識に腹を立てる暇もないほど働く。

 憲法15条2項にいわく。「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」。公務員になりたての若者から首相まで、行政に携わる人それぞれが、胸に刻み込むべき教えに違いない。

 「忖度(そんたく)」とは、他人の心中を推し量ることだと辞書にある。公務員が推し量るのは「全体」、つまり国民、市民の心中であり、上司や同僚のそれではない。憲法違反のような忖度が横行していること自体、容認しがたい。

 森友、加計両学園の問題で最も不思議なことは、公務員の忖度の可能性がこれほど指摘されながら、誰が誰の顔色をうかがったのか、はっきりと分からないことだ。人の心の動きは証明するのが困難だ。しかしその正体不明の感情は、ときに国の針路を誤らせもする。

 映画の課長も、死を宣告されるまではお役所仕事に慣れきって、無気力な日々を送っていた。寸暇を惜しんで国民のために働く気骨あるお役人よ、目覚めよ。


4月16日のこよみ。
旧暦の3月1日に当たります。つちのえ とら 九紫 先負。
日の出は5時35分、日の入りは18時37分。
月の出は5時52分、月の入りは18時45分、月齢は0.0です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で6時04分、潮位176センチと、18時32分、潮位180センチです。
干潮は12時15分、潮位12センチです。

4月17日のこよみ。
旧暦の3月2日に当たります。つちのと う 一白 仏滅。
日の出は5時34分、日の入りは18時38分。
月の出は6時30分、月の入りは19時50分、月齢は1.0です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時32分、潮位34センチと、12時51分、潮位4センチです。
満潮は6時33分、潮位179センチと、19時13分、潮位182センチです。

カテゴリー: 小社会コラム


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