2018.03.30 08:00

【伊方2号機廃炉】否定された原発の優位性

 四国電力が伊方原発2号機(愛媛県伊方町)の再稼働を断念し、廃炉にする方針を決めた。
 東京電力福島第1原発事故後に定められた新規制基準を満たすには、安全対策などに2千億円近い投資が必要になる。再稼働させても採算に合わないと判断した。
 東日本大震災後、廃炉が決まった原発は福島第1原発を除き9基となった。いずれも採算性などを理由にしている。
 政府や電力業界が原発推進の根拠にしてきた原子力の経済的な優位性は、「ムラ」の内部から否定されたに等しい。
 伊方原発は既に1号機が廃炉作業に入っている。2号機の廃炉により存続は3号機1基のみになる。その3号機もまた、広島高裁から運転差し止めの仮処分決定を受け、停止している。
 しかも、原子力規制委員会トップは新規制基準について「絶対安全とは言わない」と主張してきた。日本の原発は、多くの疑問に満ちていると言っても過言ではない。
 伊方2号機は1982年に営業運転を開始した。2012年から運転を停止している。原発の運転期間は原則40年で、多額の経費をかけて再稼働を果たしたとしても、あと4年しかない。
 規制委に認められれば、最長20年の運転延長が可能になるが、やはり巨額の工事費が必要になる。
 2号機は出力が56万6千キロワットで、3号機の3分の2程度にとどまる。人口減少や電力自由化が進むことを考えれば、安全経費を回収することは簡単ではない。
 再稼働や運転延長は仮処分や訴訟のリスクも増すだろう。四電にとって2号機の廃炉は極めて現実的な選択だったといえよう。
 新規制基準の下で、再稼働にこぎ着けた原発は全国に7基ある。運転延長も3基が認められたが、原発への懸念は膨らむばかりだ。
 伊方原発は、巨大な活断層の中央構造線から近く、南海トラフ巨大地震の影響も否定できない。広島高裁は仮処分の決定に当たり、約130キロ離れた熊本県の阿蘇カルデラの巨大噴火の危険性も指摘している。
 使用済み核燃料の保管も課題だ。伊方原発の貯蔵用のプールも満杯に近づいている。国は使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル計画を掲げるが、本格稼働の見通しは立っていない。
 国のエネルギー基本計画では原子力はなお基幹電源に位置付けられている。30年度の電源構成比率も「20~22%」に据えられている。
 実現には原発の再稼働を進め、老朽原発の運転期間の延長や建て替えが必要になる。政府は原発ありきの姿勢ではなく、現実に真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 四国は水力も豊富で、日照時間も長い。再生可能エネルギーの拡大を目指すことができる。地域のエネルギーの在り方を議論すれば、脱原発の道は切り開けるはずだ。
カテゴリー: 社説


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