2018.03.25 08:00

小社会 奈良の吉野山の桜はまだ見たことがないけれど…

 奈良の吉野山の桜はまだ見たことがないけれど、この絵の通り、素晴らしいものに違いない。東京出張の折に立ち寄った渋谷区広尾の山種美術館。日本画家、石田武の「吉野」を見た。

 山肌を白く染める桜と緑濃い木立と。近景の桜は花びら一枚一枚まで鮮明に、遠景のそれはぼうっとかすんで見える。まるで雪か白雲のように。じっと見入っていると、静かな山中に独りたたずんでいる気分になった。

 同館は5月6日まで、桜を描いた絵画を展示中。東山魁夷「春静」、奥村土牛(とぎゅう)「醍醐(だいご)」、上村松園「桜可里」…。そうそうたる画家たちの作品に触れると古来、日本人がいかに桜に引きつけられてきたのかがよく分かる。

 美術館で「お花見」を楽しんだ後に帰高すると、本物の桜の満開が出迎えてくれた。ことしは日本一早かった開花宣言以降、雨や風の強い日もあったが、散り急ぐことなく咲き誇っている。花冷えも感じるものの、あちこちの名所はきょうも花見客でにぎわうことだろう。

 〈はかなくて過ぎにしかたをかぞふれば花にもの思ふ春ぞ経にける〉式子内親王。桜の樹の下に立つ内親王を描いた守屋多々志によると、彼女が見たのは眼前の桜ではなく「過ぎ去ってしまった花の残像であり心の中にある花」。

 いのち短い桜の花に大切な人と過ごした時間や、その人の面影を重ねてみる。「もの思ふ春」は、華やかに浮き立つ心ばかりではない。


3月25日のこよみ。
旧暦の2月9日に当たります。ひのえ たつ 五黄 仏滅。
日の出は6時04分、日の入りは18時21分。
月の出は11時46分、月の入りは1時10分、月齢は7.6です。
潮は小潮で、満潮は高知港標準で0時09分、潮位127センチと、10時59分、潮位131センチです。
干潮は5時19分、潮位95センチと、18時36分、潮位35センチです。

3月26日のこよみ。
旧暦の2月10日に当たります。ひのと み 六白 大安。
日の出は6時02分、日の入りは18時22分。
月の出は12時47分、月の入りは2時08分、月齢は8.6です。
潮は長潮で、満潮は高知港標準で2時09分、潮位129センチと、12時57分、潮位127センチです。
干潮は7時41分、潮位98センチと、20時12分、潮位30センチです。

カテゴリー: コラム

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