2018.03.21 08:50

峠名物の京柱茶屋が閉店 店主・大田さん 後継者求む 大豊町

絶景の峠にある「京柱茶屋」の前でほほ笑む店主の大田昌通さんと妻の呉令子さん(昨年6月、大豊町西峰)
絶景の峠にある「京柱茶屋」の前でほほ笑む店主の大田昌通さんと妻の呉令子さん(昨年6月、大豊町西峰)
 高知県長岡郡大豊町と徳島県三好市の県境にある京柱峠で22年間続いた、名物の「京柱茶屋」が閉店することになった。店主、大田昌通さん(84)=大豊町西峰=の高齢のためという。雪や道路凍結のため例年12~3月は店を開けておらず、そのまま4月からの営業も断念。大田さんは「お客さんのことが気になる。誰かが後をやってくれたらえいが」と後継者を求めている。(森本敦士)
 
 「酷道」ともいわれる国道439号を上り詰めた標高約1100メートルの京柱峠。県境すぐそばの茶屋からは山や雲を見下ろす絶景が楽しめる。大田さんいわく、10キロ以上離れた梶ケ森(大豊町佐賀山)まで「歩いて行けそう」な濃い雲海が出ることもある。茶屋は1996年、場所にほれ込んだ大田さんが63歳で始めた。縫製会社の経営をやめた後だった。
 
 4~11月は毎日、車で約9キロを通って開店。近年のメニューはしし肉うどんとおにぎりのみで、平日の客は数人だが、酷道マニアら熱心なファンが訪れるという。茶屋の壁や天井は〈また来たで〉〈こんなに景色が良い所があるとは〉など、22年間で集まった寄せ書きで埋め尽くされている。その一つ一つが大田さんにとって「一生の思い出」だ。
 
 今年も店を続けるつもりだったが、体調に不安を覚えることが増えたといい、大田さんは6月が期限の運転免許証更新を諦めた。
 
 「去年から耳も遠くなった。思い切って、足元が明るいうちに閉める」と3月初旬、決断した。仕入れや接客を手伝ってきた妻の呉令子(くれこ)さん(83)は「京柱で倒れたらこの人の本望と思いよったけど、肩の荷が下りました」。
 
 ただ、気掛かりはお客さん。住民にも残念がる声があり、大田さんは「寂しい。誰ぞやってくれんかのう」と話す。土地は町有地だが、適任者が現れれば町に掛け合い、建物や設備を譲りたいと考えている。

カテゴリー: 主要社会嶺北


ページトップへ