2018.02.16 14:30

幼な子われらに生まれ

再婚した夫婦を演じる浅野忠信と田中麗奈(c)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会
再婚した夫婦を演じる浅野忠信と田中麗奈(c)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会
「家族」「血縁」が もたらす喜怒哀楽 終わりなき物語
 筋立てだけをみれば、陳腐なドラマかもしれない。けれど「家族」と「血縁」がもたらす人類普遍の喜怒哀楽のエピソードを綿密に積み上げる。見終えた後の感慨は深く重い。尾を引く。

 主人公のサラリーマン田中信(浅野忠信)は、離婚して2人の娘がいる奈苗(田中麗奈)と結婚する。「信」も再婚であり、元妻(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘がいる。

 「血縁」で結ばれた家族にあっても、完全なコミュニケーションなど成立するはずもなく、さまざまな行き違いに見舞われる。むしろ「血縁」という関係性に甘えた言葉足らずから生まれるトラブルも多い。

 「信」と「家族」である2人の娘は「血縁」では結ばれていない。まだ幼い次女は知らないが、長女は実の父親ではないことを分かっている。先の離婚経験もあって、「信」は良き父親であろうとする。会社から冷遇されようが、仕事よりも家庭の時間を優先させてきた。

 その表面上は平穏な均衡が崩れたのは、妻が「信」の子どもを身ごもったことにある。

 「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」

 妻の妊娠をきっかけとして、思春期を迎えた長女の感情がついに破裂する--。

 「信」たちの家族は「血縁」を超えた結束を模索して苦悩する。そして物語は終わらなければならない。それだから一応のエピローグは用意されている。

 “一応”というのは何もかもが見事に解決された終幕ではないからだ。家族という物語は死ぬまで続く終わりなき旅だと、しみじみ思わされる。

 高知市桟橋通4丁目の市立自由民権記念館ホールで23日午後1時半、4時、6時半からの3回上映。1300円(当日1500円)。シニア・障害者1300円、高校・大学生800円。シネマ・サンライズ主催。3月3日から16日まで、あたご劇場でも上映される。

 (竹内 一)

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カテゴリー: シネスポット文化


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