2018.02.15 08:00

小社会 大阪の堺で治安維持に当たっていた土佐藩兵が…

 大阪の堺で治安維持に当たっていた土佐藩兵がフランス水兵を死傷させた堺事件は、1868年2月15日に起きた。堺出身の与謝野晶子にこれを回想した詩「故郷」がある。

 〈堺の街の妙国寺 その門前の庖丁屋の 浅葱納簾(あさぎのれん)の間から 光る刃物のかなしさか〉〈御堂の前の十の墓 ふらんす船に斬り入つた 重い科(とが)ゆゑ死んだ人 其(そ)の思出のかなしさか〉はその一節。高知大名誉教授だった故岡林清水さんの指摘として、作家の大岡昇平さんが遺作「堺港攘夷(じょうい)始末」で触れている。

 藩兵11人が切腹した妙国寺と墓が残る宝珠院は、晶子の生家跡から近い。「君死にたまふことなかれ」の作者は幼い頃、土佐の侍腹切りの物語を聞かされて育ったのかもしれない。

 それにしても藩兵たちの数奇な運命には、150年後の今も強烈な印象を受ける。切腹する20人の大半はくじで選ばれた。死者がフランス水兵と同数の11人になった時、フランス側が突如中止を申し入れ、9人は死を免れる。

 生から死、死から生へ。ほんろうされた命に晶子は「かなしさ」を感じたのだろうか。堺港攘夷始末には幡多へ流刑となった9人のその後も詳しい。先の大戦を一兵卒として戦い、捕虜となって生還した大岡さんにとって「死にそびれた人間」は重いテーマだったろう。

 明治からの歴史の間には、人の命が鴻毛(こうもう)のように扱われた時代があった。そのことを忘れてはなるまい。


2月15日のこよみ。
旧暦の12月30日に当たります。つちのえ とら 三碧 大安。
日の出は6時50分、日の入りは17時50分。
月の出は6時23分、月の入りは17時14分、月齢は29.0です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で6時26分、潮位155センチと、17時43分、潮位160センチです。
干潮は12時02分、潮位57センチです。

2月16日のこよみ。
旧暦の1月1日に当たります。つちのと う 四緑 先勝。
日の出は6時49分、日の入りは17時51分。
月の出は7時01分、月の入りは18時10分、月齢は0.2です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時20分、潮位-4センチと、12時32分、潮位50センチです。
満潮は6時53分、潮位159センチと、18時17分、潮位164センチです。

カテゴリー: コラム

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