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2002.02.11 07:10

土佐の果物語(33) 第5部 (5)気候 「暖かい雨」が危険

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須崎市立目。ちょっとした気候の変動が、ポンカン作りにも微妙な影響を与えている

 「おやじの代のころは、日光と水はけのほか、気象と品種と人間の手がポンカンの味を決めると言っていました。昔はポンカン作りの味方だった気候が、今は足を引っ張ろうとしています」

 須崎市の立目ぽんかん出荷組合の坂本誠二組合長が気候の問題を話してくれた。

 「収穫の一カ月前から収穫までの雨と気温が実のおいしさの八、九割を決めます。暖かい雨が一、二日降り続くと駄目になってしまう」

 一昨年十二月の雨は、水腐れ症多発につながった。県農業技術課の西本年伸・専門技術員に説明してもらった。

 「水腐れ症というのは、実の果頂部(へたの反対側の部分)に水がたまり、油胞=果皮の表面に見えるオレンジ色の斑点(はんてん)=がつぶれて皮が腐ることです。見た目の悪さから商品価値がなくなります」

 雨が降った後に乾燥した風が吹かず、果実がぬれた状態が長く続くことが水腐れ症を引き起こすと考えられている。

 地球温暖化の影響もある。

 「温暖化によって果実の色づきが遅くなるんです。中身は熟しているのに、皮の色づきを待つため樹上で置く。置きすぎて皮が老化し、水を吸い込みやすくなってしまうのではないかとみられています」

 実際に気温はどうなっているのか。ポンカンの収穫前と収穫真っ最中の十一、十二月を見てみた。

 高知地方気象台によると、昭和四十六年―平成十二年の平均気温は十一月が一三・四度、十二月が八・二度。十一月の場合、平成元年からの十二年間で、七年を除けばいずれも平均気温と同じか上回っている。十二月も同じか上回ったのが十回もある。

 「昔は霜柱をばりばり踏みながら作業に行きよった。今はもうそんなことはない」

 生産者は肌で変化を感じている。

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