2002.02.11 07:20
土佐の果物語(32) 第5部 (4)貯蔵 じっくりと熟成
「味がまろやかになるんですよねえ」
須崎市の立目ぽんかん出荷組合、坂本誠二組合長の貯蔵庫をのぞかせてもらった。
鉄骨造りの倉庫は、一部三階建て。
「温度と湿度の関係だと思うんですが、場所ごとに色づき方が違うんです」
二階や三階部分のあちこちにポンカンの入ったコンテナが積み上げられている。
同組合員の森田一裕さんは、コンクリートブロック造りの倉庫以外に土壁の倉庫でも貯蔵している。
森田さんの祖父の故・茂秋さんの代に建てた土壁の木造倉庫は築三十五年ほど。瓦ぶきの倉庫に足を踏み入れた。
コンクリートの床にはわらが敷かれ、入り口にかけてあるクリーム色の布の間から、太陽光が差し込む。
「土壁の倉庫は、断熱と温度調整が一番えい。夜間は扉を閉めておくと、外気に比べて中は温かい。冷たい風を入れると冷たいまま。温度変化が少なくて、味が狂いにくい。自然の冷蔵庫やろうかね」と、森田さん。
天井まで十五段の木の箱の引き出しがあり、一つ一つにポンカンがぎっしり並ぶ。まるでタンスだ。
「今は(実が)ぎしぎし(に詰まっている)やろう。これがそのうち動きだす。皮の水分が飛んで、皮が休眠状態になるから。もし、皮が起きている状態だと、中の実の水分を吸収して、スカスカの実になってしまう。土壁だと管理がしやすいんです」
もちろんどんな実でもいいわけではない。
「日の当たった健康な実でないと…」
山での栽培手腕が第一条件だ。