2002.02.11 07:40
土佐の果物語(30) 第5部 (2)立目 「3つの太陽」
あちこちの山の斜面が赤みがかっただいだい色に染まっていた。
なぜ、立目でおいしいポンカンが作られてきたのだろう。
「一つは、地形でしょうね」
立目ぽんかん出荷組合の坂本誠二組合長が説明してくれる。
「切り立った山がせり出しているでしょう。その山が海からの太陽の照り返しを受ける。午前九時から午後三時ぐらいまで、海面はキラキラ光って鏡のように見えますよ。味の決め手は、光と水はけの良さです」
同組合員の森田一裕さんも言う。
「適度な潮風と、『三つの太陽』が立目にはあると言われています。一つは空の太陽、もう一つは海からの反射。残る一つが石垣の反射」
この説には科学的な裏付けもある。太陽は水と二酸化炭素で栄養分を作り出す光合成を行うために欠かせない。三つの太陽によって木のあちこちに光が当たる。
さて一口にポンカンと言っても、主に三系統がある。一足早く出回る早生(わせ)の高しょう系、中生(なかて)の岡山系、晩生(おくて)の低しょう系。
その違いを坂本組合長に聞いてみる。
「高しょう系は果実が縦長なんです。葉の緑色も濃くて大きい。低しょう系の実は温州ミカンのようにぺしゃんとつぶれた感じ。葉は小さくて少し黄緑色っぽいんですね。岡山系の木は低しょう系に似ているが、実の大きさは高しょう系と低しょう系の中間。葉の色は緑色が濃くて、小さいですね」
つまり木や実の外観からも違いが分かる。
この実においしさを加えるには人の管理、技術が欠かせない。
三つの太陽がない産地も同じだ。