2002.02.11 08:20
土佐の果物語(26) 第4部(3)隔年結果 栽培の泣きどころ
つまり実をたくさん付けた翌年は木が疲れて実を付けなくなる。これを「隔年結果」と呼ぶ。品種によっても多少の違いはあるが「裏年は家でも食べる分がないほど。木に一個も実が付いていないこともある」(生産者)という。
ここ十年間の高知県園芸連の取扱量を例に取ると、平成元年と二年は四トンと十一トン。六年七トン、七年十四トン、八年五トン、九年十二トン、十年四トン、十一年九トン-という具合。ちなみに昨年が裏年で、今年は豊作。
隔年結果は他の果物にもあるが、ヤマモモの場合はちょっと厄介だ。
「例えばウメなら放水で実を摘果(結実量を調整するために果実を幼いうちに間引くこと)する所もありますが、ヤマモモは傷むでしょう。できないんですよ」(曽我部さん)
摘果しようにも実が小さいし、傷みやすい。要するにやたら手間がかかる。
隔年結果を起こさないため、県農業技術センター果樹試験場では剪定(せんてい)方法を研究して指導。独自の剪定方法で調整を図っている生産者もいる。また、「生産量が不安定なので計画出荷ができないんですね。加えて日持ちもしないから生果としては限界があります。だから、お菓子など加工品での利用を広げていくのは有力な手」と、加工に期待する関係者も少なくない。
県内では菓子製造会社やアイスクリーム業者、酒造会社などでもヤマモモが使われている。統計上の数字で見ても、平成十年の加工量は生果の約六倍の八十七トンに達している。
「子どもの時にはよくヤマモモの木に登っては食べ、シャツを真っ赤にしたものです。今の子どもはヤマモモの味を知らないんでしょうねえ」
そう嘆くのは熟年世代のある男性。ヤマモモの味は、加工品になって受け継がれつつある。