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2002.02.11 08:40

土佐の果物語(24) 第4部 ヤマモモ編(1)原木訪ね

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梅雨の合間の短い期間が旬のヤマモモ(高知市内)

梅雨のさなか短い旬
 梅雨真っただ中のある日、ヤマモモを見に出掛けた。

 行き先は、高知市池でヤマモモを栽培している西尾和幸さん(75)。高知県のヤマモモ栽培の歴史を教えてくれませんか?

 「高知で栽培されているヤマモモの原木は長岡郡十市村(今の南国市十市)で見つけられたようですね。高知で最も普及している『亀蔵』の木が今もあるはずですよ。道路に道しるべがありますき、ぜひ一度見てください。高知県のヤマモモの原点です」

 説明の後、「それはそうと…」と西尾さんが聞いてきた。

 「いつ新聞に載せるの? え、旬の時? そりゃあ今じゃないですか。急がんといかん。これから原木を見に行きましょうか。ついて来てください」

 西尾さんの後に続いて、車であたふたと隣の南国市十市に向かう。

 車が狭い道を抜けると、原木の由来を書いた案内板があった。地元の人に道を尋ね、一八〇〇年代前半に亀蔵ヤマモモを発見した島田亀蔵の旧宅にたどりついた。

 亀蔵の子孫の定江さん(83)に案内役を頼み、裏山に登る。

 「ソルダムの木々の間を抜けて、と…」。西尾さんの情景描写とともに景色が移る。竹林、ヒノキ、シイ、ビワの木が見える。じわっと汗がにじんできた。十分ほどたったろうか。

 「あれじゃあないでしょうか」。定江さんが立ち止まった。幹がごつごつとしたヤマモモの木があった。高さは十メートル以上、上の方の枝には、ヤマモモの実が二百年の時を超えて赤く熟れていた。

    □  ■

 ヤマモモ栽培は、主に関東以南の温暖な太平洋岸で行われている。文献によると、高知県では、約二百五十年前に南国市十市で始まり、亀蔵に先立って中山早生が発見されたという。高知県の主な産地は、室戸市、高知市、南国市、高岡郡中土佐町など。短い旬を追った。(経済部・竹村朋子)

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