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2002.02.11 09:10

土佐の果物語(21) 第3部 (5)ハウス 斜面を丸ごと覆う

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急斜面に建つ小夏のビニールハウス園。空への階段のように続く(土佐市波介)

 「小夏は、木に遅くまでならしておけば糖度が上がる。しかし、寒害に見舞われたり、木に負担がかかって、翌年には実をあまりつけなくなる。安定生産と、寒害から守るためにハウス栽培を取り入れているところもありますよ」

 何人かの果樹関係者に「見に行ってみては」と勧められたのが土佐市波介の「市原さん親子のハウス」だ。

 土佐市は、露地とハウスを合わせた小夏の栽培面積が約六十五ヘクタール(十一年産)と県内の約半分を占める小夏の一大産地。

 「ハウスといっても、施設園芸のようにごんごん加温して、夏の野菜を冬場に作るのとは違います」

 娘婿の勇さん(35)が教えてくれる。あくまでも寒さよけ、水分や養分を自分で管理できる-という位置付けなのだ。

 まず、平野部のハウスに案内してもらう。内部には高さ七十センチほどの畝が並び、そこに小夏の木が植わっている。まるで果樹園を丸ごとハウスで包みこんだようだ。

 「ここで感動してもらっていたら、山に行ったら大変ですよ。山の味? あそこは別格です。とにかくおいしい。飾りの言葉はなし」

 その“別格”の山に向かう。坂道を車で駆け上ると、ビニールハウスが目前に近づいてきた。まるで山の斜面にへばりついているガラス張りの体育館のようにも見える。

 中に入ると今度は天井の高さと、山の斜面をぐるりと囲んだ温室のような情景に息をのんだ。

 そこに、義父の良胤(よしたね)さん(60)がいた。

 「このビニールハウスを建てたのは二十一年ばあ前。それまでは露地ばっかりで、寒(かん)で完全に小夏がいかんなった年がありましたわ。何とかせないかんと、南予地域で急傾斜地にハウスを造っていると聞いて見に行ったんです」

 収穫の手を止めて話を聞かせてくれた。

高知のニュース 土佐の果物語

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