2002.02.11 09:50

土佐の果物語(17) 第3部 小夏編(1)伝来 3つの名前持つ

みずみずしさいっぱいの初夏の味、小夏
みずみずしさいっぱいの初夏の味、小夏
 くるり、くるり。リンゴの皮をむくように、ナイフで薄ーく黄色の皮をむいていく。

 白い甘皮をつけたままの果実を斜めにそぎ切りする。きらきら光る果汁がまぶしい。

 一個を手に取って口に入れてみた。みずみずしさがそのままのど元にじわっと吸収されていくようだ。

 夏本番を前に、夏らしさを感じさせる味、小夏。これぞ、土佐の初夏の味-。

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 高知県での小夏栽培の歴史は、明治時代にさかのぼる。

 日本果樹種苗協会出版の「特産のくだもの・ひゅうがなつ」によると、一八九〇年に長岡郡久礼田村(現・南国市)の徳橋喜三郎氏が宮崎県から日向夏(ひゅうがなつ)の苗木を購入したのが始まりとか。同じころ宮崎県では、田村利親氏が日向夏の原木を発見。この人の郷里が実は高知県で、長岡郡新改村(現・香美郡土佐山田町)の父・利保氏に穂木と苗木を送り、そこから苗木の増殖・栽培が始まったとも書かれている。

 ここであれっと思うのは、日向夏という呼び方。小夏というのは、実は高知県で主に使っている名前で、江戸時代に誕生したといわれる原産地の宮崎県では日向夏、愛媛県や静岡県などではニューサマーオレンジとも呼ばれている。よく使われる名前だけでも何と三つもあるのだ。

 その小夏の全国栽培面積は、四百七十六ヘクタール(平成十年産)。地域別では、宮崎県の百四十九ヘクタールがトップ。次いで、高知県の百十四ヘクタール、静岡県の九十九ヘクタール、愛媛県五十五ヘクタール、福岡県…と続く。栽培地の北限は神奈川県。小夏は樹上で越冬させて四、五月に収穫するので、寒害を受けない地域に産地が限定されている。

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 小夏と一口に言っても品種はいろいろ。県農業技術課によると、農林水産省には現在、五種が登録中。そのうち室戸、宿毛、西内、松岡小夏の四種が高知県生まれだ。その中の代表格、宿毛小夏と西内小夏の発見者に会いに、車を走らせた。(経済部・竹村朋子)

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