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2002.02.11 11:40

土佐の果物語(6) 第1部 (6)迫る足音 増え続ける県外産

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高知市中央卸売市場での県内産新高ナシの競り。後方には青色と緑色の県外産新高ナシの箱がどんと積まれている(高知市弘化台)

 すっかりナシの季節になった。

 量販店に買い物に行くと、熊本県や福岡県の新高ナシをよく見かける。値段は四百円を切るお手ごろ価格がほとんどだ。

 「全国でもナシ全体の栽培面積は減少しているのですが、新高ナシだけは右肩上がりに増えています。味が良くて、貯蔵性もいいですからねえ。ナシ農家にとっては七月から十一月まで豊水、幸水、新高ナシと出荷し、売り続けたいという気持ちもあるのでしょう」

 果樹試験場の落葉果樹科長、木村和彦さんが教えてくれた。

 新高ナシの栽培面積は、平成二年の一千七十五ヘクタールから十年には一千三百八十九ヘクタールに増加。一位は千葉県の二百四十二ヘクタール、二位は熊本県百九十四ヘクタール、三位は高知県の百二十六ヘクタール、四位は大分県九十七ヘクタール、以下、福岡県、茨城県、新潟県と続く。関東地方は四百-六百グラムの小玉、九州地方は六百-八百グラムの中・大玉が多いそうだ。

 県内産は生産者による直接販売が主流で、市場に出回るのは限られている。それでも元年までは市場に占める県内産の割合が三、四割はあったらしい。ところが九年には二割前後に減少。その分、県外産がじりじりとシェアを広げている。

 高知県園芸連によると「高知の人は大玉の新高ナシに独特の評価をしている。つまり高く買ってもらえるので、県外産地が高知に持ってくる」とか。

 高知市弘化台の高知市中央卸売市場を訪れると、熊本や福岡、大分、佐賀の各県産の新高ナシの箱がずらり積まれていた。ピーク時には、一産地から十トントラック三台分が届くという。

 県外産は主に農協を通じて六百-七百グラムの玉をどっと売ってくる。しかし近ごろは県内産と変わらない一キロ級の大玉も入りだした。

 「県内産の方がね、香りがあって食べた時に口に甘味が広がるんです」と市場関係者が県内産の優秀さを説明してくれる。が、こう付け加えるのも忘れなかった。「『県外産が追い付け追い越せになってきた』と言う声も聞きますよ」

 王者にもライバルの足音が迫っている。(経済部・竹村朋子)

高知のニュース 土佐の果物語

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