2018.02.09 14:30

ボブという名の猫

野良猫ボブと出合い、ジェームズ=真ん中=の人生が動きだす(C)2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.
野良猫ボブと出合い、ジェームズ=真ん中=の人生が動きだす(C)2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.
1匹の茶トラ猫が 1人の青年に チャンスを運ぶ
 犬は従順で、猫は自由気まま--。そんなイメージがあるが、本作に登場する野良猫ボブを見るとちょっと違った印象になる。

 偶然出合ったホームレスで薬物依存症の青年に寄り添い、生きる希望とチャンスを運ぶ“幸せの茶トラ猫”なのだ。

 夢のような話だが、英国ロンドンの実話を基にしている。

 英国生まれの青年、ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は幼い時に両親が離婚し、母親と豪州へ。10代後半でミュージシャンを夢見て渡英するが、現実は甘くなかった。ギターを手にストリートミュージシャンとして生計を立てようにも稼ぎは微々たるもの。孤独な日々を過ごす中、薬物に溺れ、更生したい思いはあってもうまくいかない。

 ある日、ボブと出合い、その日を境に彼の人生が動きだす。

 映画の原作となったのは、ジェームズ本人が書いた自伝「ボブという名のストリート・キャット」(原書は「A Street Cat Named Bob」)。ボブとのコンビで演奏したり、仕事をしたりする姿が新聞記事やユーチューブなどの動画投稿サイトで紹介されたことが出版のきっかけとなった。2012年に発売されると、全英ベストセラーに。販売部数は世界で500万部を突破したという。

 本作では、ホームレスの人自身に雑誌を販売してもらい、自立につなげてもらおうとする支援団体「ビッグイシュー」(英国発祥で、日本にも組織がある)や薬物依存からの回復を支援する組織が登場する。一方、職につけないまま、薬物の過剰摂取で命を落とす若者の姿も映し出され、英国の社会福祉や現実が垣間見える。

 人間が生きていく上で必要なのは衣食住だけでなく、お互いに信頼し合える人や動物といった存在との出合いなのだろう。ジェームズだけでなく、これまでジェームズに見向きもしなかった人の心まで動かしたボブ。映画のボブ役は複数の猫が務めていて、見分けがつかない。そのうちの1匹が本物のボブで、多くのシーンに登場しているそうだ。

 あたご劇場で上映中。(竹村朋子)

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カテゴリー: シネスポット文化


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