2018.02.07 08:00

【陸自ヘリ墜落】原因の究明と公表尽くせ

 佐賀県神埼市で陸上自衛隊の2人乗りヘリコプターが住宅に墜落し、炎上した。
 家にいた小学生の女児は軽いけがで済んだが、乗組員が死亡した。原形をとどめていない家やヘリが事故の激しさを物語っている。
 現場近くには幼稚園や小学校もある。一歩間違えば、大惨事になっていた。
 国民を守るべき自衛隊が、国民の平穏な暮らしや命を脅かすことがあってはならない。政府や自衛隊には徹底した原因究明と情報公開を尽くすよう求める。
 関係機関は、住民の心のケアにも最善を尽くしてもらいたい。突然の出来事に女児の恐怖はいかばかりだったか。近隣の住民も強い衝撃を受けているに違いない。
 現場は神埼市千代田町にある田園に囲まれた住宅地だ。
 5日夕、AH64D戦闘ヘリが上空を飛行中に突然、墜落した。2階建て住宅に激突し炎上。この住宅と、隣接する平屋を焼いた。
 住宅には4人が暮らしているが、3人は不在だった。平屋にいた女児の祖母も、逃げ出してきた女児と一緒に避難して無事だった。
 幼稚園は現場から150メートルほどしか離れておらず、事故当時は60~70人の園児がいたという。不幸中の幸いとしかいいようがない。
 ヘリは、約6キロ先の同県吉野ケ里町にある陸上自衛隊目達原(めたばる)駐屯地の所属機だ。防衛省によると、駐屯地を離陸して7分後に墜落した。
 飛行中に機体からメインローター(主回転翼)が分離し、ほぼ垂直に落下したとみられる。定期点検でメインローターの4枚の羽根をつなぎ止める部品を初めて交換したばかりだったという。
 民間機でもあり得ない、信じがたい事故といえる。それがなぜ自衛隊機で起きてしまったのか。
 今回の事故だけではない。自衛隊機は昨年だけでも3件の死亡事故が起きている。特に今回は住宅地に墜落する最悪のケースである。米軍機だけでなく、自衛隊機も安全性や信頼性が問われる事態だ。
 佐賀では陸自が輸送機オスプレイを佐賀空港に配備する計画がある。墜落機と同型を含むヘリ約50機も佐賀空港に移駐させる計画だ。事故続きの状態で、政府は地元に受け入れを求めるつもりだろうか。 
 北朝鮮情勢などもあり、現場は任務が増えているとの指摘もある。整備ミスや構造上の問題、任務の環境など、あらゆる角度からの解明が急がれる。
 民間機の事故なら運輸安全委員会による調査が行われる。専門家集団が原因を多角的に調べ、途中経過や報告書も公表している。
 自衛隊機の事故は自衛隊主導の調査になる。内部での調査であり、客観性や公表の程度に疑問が募る。
 安倍首相は国会で事故について謝罪し、原因究明を誓った。それには国民が納得できる調査と公表を伴うことが大前提である。
カテゴリー: 社説

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