2018.02.04 08:00

【大学入試ミス】深刻に受け止め再点検を

 大学の入試シーズンがピークを迎える中、入試への信頼が揺らぎかねない事態だ。
 大阪大と京都大で、昨年の入試にミスがあったことが相次いで発覚した。いずれも判定をやり直し、多くの追加合格者が出た。
 入試の合否は受験生の人生を左右する。大学が、出題や採点などにミスがないよう万全を期すべきなのは言うまでもない。
 両大学の問題はミスを犯したこと以上に、対応が遅れた点にある。不利益を被った受験生の救済は1年近くも遅れた。両大学は事態を深刻に受け止め、原因究明と再発防止策が急がれる。
 他の大学も、国公私立を問わず、対岸の火事にしてはならない。いままさにことしの入試が進んでいる。試験問題の内容や採点は大丈夫だろうか。ミスが判明した時の体制も、再点検してもらいたい。
 大阪大は昨年2月の入試の物理科目で、出題と採点にミスがあった。不合格とした受験生計30人を先月、新たに合格とした。
 6月と8月に予備校関係者から指摘があったが、「大学側の解答が正しい」とし、そのままにした。12月に3回目の指摘でようやくミスに気付いたという。
 京大も昨年2月の入試で物理に出題ミスがあった。不合格になっていた17人を追加合格にし、京大に入学した11人には本来の志望学科に移ることを認める。
 先月中旬に「解答ができないのではないか」との問い合わせがあり、判明した。入試問題は学内の委員が会議を重ねて作成した。試験当日も別の教員3人が解答するなど点検に力を入れていたという。
 共に名門国立大であり、大学入試全体に不信を与えた責任は重い。特に大阪大のミスは早い段階で対処できたはずだ。最高学府の思い上がりとしか言いようがない。
 今回の事態を受け、大学に対し、入試問題の解答例を公表するよう求める声が強まりそうだ。
 文部科学省も毎年、各大学に「標準的な解答例や出題の意図を明らかにするよう努める」ことを要望してきた。今後、開示のルール作りに着手するという。
 現状は大学が自主的に判断しており、対応は分かれている。京大は今後も非公表とするという。単に知識を問うのではなく、解答に至る経緯を見る内容だからだ。
 大学による重大な入試ミスは過去にもあった。人間がやる以上、ミスは起こる。ミス防止と早期発見の対策を一層進める必要がある。
 何より、合否判定には客観性が担保されなければならない。解答例の公表がそれらの手段の一つになるのは間違いないだろう。
 ただし、大学入試は、大学の良識と責任において実施されるのが本来の姿だ。国が必要以上にルールを押し付けるのは好ましくない。大学の主体的な取り組みとして議論されるべきだろう。
カテゴリー: 社説

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