2018.02.02 08:00

【東京一極集中】地方創生の実効性見えず

 「東京圏への人口の過度の集中を是正する」。安倍政権が2014年に「地方創生」の関連法に明記してから約3年。東京一極集中はむしろ強まっている。
 総務省の17年の人口移動報告で、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は転入者が転出者より多い「転入超過」が約12万人に上り、22年連続で転入が上回った。10万人超えは4年連続で、超過数は2年ぶりに増え、09年以降で最大になった。
 転出超過は高知県など40道府県、全市町村の76%の1311市町村に上る。三大都市圏のうち大阪圏、名古屋圏も5年連続の転出超過で、東京一極集中が際立つ。
 東京圏の転入超過の98%を15~29歳の若い世代が占めるという。進学や就職とみられる。大企業が多く、景気の上向きで雇用情勢の改善が速い東京へ、地方の若者が吸い寄せられていく姿が浮かぶ。
 国内人口が減る中で東京圏だけが膨張し続け、その割合は全人口の3割に迫る。東京も既に出生数より死亡数が多い自然減に陥っており、地方が人の供給源になっている形だ。その関係は、地方の人口枯渇がいずれは東京の人口縮小へと波及していくことを意味する。
 東京一極集中は戦後の高度成長政策のひずみとして問われ続けてきた国政課題だ。安倍政権も地方創生を掲げ、15年から5カ年の総合戦略で東京圏の転出・転入を20年に均衡させる目標を示した。
 地方で30万人分の若者の雇用創出や子育て支援などの具体策を打ち出した。安倍首相は「異次元の政策」と胸を張った。が、その成果は見通せない。
 東京から本社機能の地方移転を促すため新設した法人税の優遇制度は、利用実績が昨年11月時点で20社に満たない。企業を大胆に動かす誘導策になり得ていない。
 有効求人倍率は地方でも改善しているものの、2倍を超す東京とは勢いに開きがある。地方との賃金格差もあり、若者が希望に沿う職を求め、東京へ向かう流れを変えるのは容易ではない。
 政府は若者流入の抑制策として、東京の大学の定員増を制限する。全国知事会の要望でもあるが、効果は限定的ではないか。若者の進学や進路の自由を奪う恐れもある。
 政府機関の地方移転も文化庁の京都移転以外は、省庁の抵抗で尻すぼみに終わった。政権が本気で臨んだのか疑わしい。
 地方も若者定住や移住促進に汗をかいている。そこでは地域事情に即した対応が求められ、国から地方へ権限や税源を移す分権の一層の推進が必要になるが、地方創生戦略の軸にはなっていない。
 20年の東京五輪、27年のリニア中央新幹線開業など東京は吸引力を増すばかりだ。実効性が見いだせないなら、地方創生策は即刻見直すべきだ。特効薬はないにしても、従来の政策に欠けていたものを検証し、新たな視点を探り出したい。
カテゴリー: 社説


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