2018.01.28 07:50

【松本副大臣】沖縄軽視も甚だしい

 自民党の松本文明内閣府副大臣が衆院本会議中に、沖縄県で続発する米軍ヘリコプター不時着を巡り「それで何人死んだんだ」とやじを飛ばした。この責任を取り、安倍首相に辞表を提出し、受理された。
 25日、共産党の志位委員長による代表質問中、議場からの不規則発言だった。人命軽視も甚だしい。暴言というほかない。
 不時着、墜落など、いつヘリがトラブルを起こすか分からない中で暮らす沖縄住民に対し、残酷ではないか。副大臣の辞任は当然である。
 不時着が相次いでも、人命は失われてないではないか―。やじの意味はそう理解するのが自然だろう。米軍ヘリの不時着を容認すると受け取られても仕方ない。議員辞職の考えはないようだが、基本姿勢に大いなる疑問を抱かざるを得ない。
 前に内閣府副大臣だった時は、沖縄・北方担当だった。防災も担当し一昨年4月、熊本地震に対応するため現地入りしたところ、テレビ会議で自身らへの食事の差し入れを求める発言をした。批判を受け、衆院総務委員会で陳謝した経緯もある。
 地位と職責への自覚を欠く面は以前からあったのだろう。
 安倍首相は松本氏に、日本が大変な時だとして「緊張感を持って対応してもらわないと困る」と注意した。職責の重さからすれば、緊張を欠いては務まるまいが、発言はそれ以前の問題である。
 きょうは名護市長選の告示日だ。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する現職に対し、自民党系新人が挑む構図が予想されている。
 松本氏による発言は到底許されるものではない。一方、選挙を重視する自民党が沈静化を図るため、辞任を促したとしても不思議はない。
 昨年12月、飛行中の米軍ヘリが上空から宜野湾市の小学校に窓を落下させた。この事故を受け、米軍は普天間飛行場周辺の学校上空を「最大限可能な限り」飛行しないことで日米政府は合意している。
 その後、米軍ヘリによる小学校上空の飛行を確認したとして、小野寺防衛相が米側に抗議した。異例の対応は名護市長選への影響を考えてのことであるのは間違いない。
 ただ、米側とは認識で差があるようだ。海兵隊のネラー司令官は、23日に起きた渡名喜村のヘリポートへのヘリ不時着などを巡って「非常に率直に言って不時着で良かった」と述べた。不時着したのは万一を防ぐための措置だったという。
 人家周辺で墜落など起こされてはたまらない。米軍ヘリが窓を落とした小学校は避難訓練までしたことを知っているのだろうか。トラブル続発の責任が全く感じられない。
 米軍ヘリの不時着などの恐怖と不安が続き、日米政府の要人からは心ない言葉で傷つけられる。沖縄県民は一体いつまで、ないがしろにされなければならないのだろう。
 「沖縄に寄り添う」と繰り返す安倍政権の姿勢が問われる。
カテゴリー: 社説


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