2018.01.25 08:00

【草津白根山噴火】検証し「想定外」減らせ

 群馬県の活火山、草津白根山が噴火し、噴石が直撃するなどして、近くのスキー場で訓練中だった自衛隊員1人が死亡、スキー客らも含め11人が重軽傷を負った。
 噴火の瞬間を捉えたカメラ動画には、立ち上る黒煙とともに大量の噴石がゲレンデやゴンドラに降り注ぐ様子が見て取れる。爆撃のようなすさまじさだ。
 登山者58人が死亡した2014年の御嶽山(長野・岐阜県)の噴火災害を教訓に、国や自治体が火山防災の強化に取り組んできた中で再び悲劇が起きた。衝撃は大きい。
 噴火したのは、草津白根山を構成する火山の一つである本白根山。マグマで熱せられた地下水が爆発する「水蒸気噴火」とみられる。噴石は1キロ以上飛んだ。
 本白根山の噴火は約3千年前にあって以降は確認されておらず、火山性地震などの前兆も観測されてこなかった。気象庁も「想定外」だったとする。
 草津白根山は気象庁が常時監視する全国50火山の一つだが、警戒対象は本白根山から約2キロ北の白根山の湯釜火口だった。1983年に水蒸気噴火した後、活動が低下してきたとして昨年6月に噴火警戒レベルを最低の1に引き下げていた。
 気象庁が火山活動を「静穏」と判断した状況下で、しかも無警戒だった場所で爆発した。噴火予知の限界を痛感させられる。
 戦後最悪の噴火災害とされる御嶽山の被害を踏まえ、国は活動火山対策特別措置法を改正し15年に施行。草津白根山を含む全国の49火山の周辺自治体を警戒地域に指定し、住民や観光客らの避難計画の作成を義務付けた。
 指定自治体は150を超えるが、地域の火山活動が長く低滞し、資料やノウハウに乏しい自治体が多く、3分の2が策定に手間取っている。草津白根山の周辺でも遅れている自治体がある。
 国内には火山観測の研究者が100人に満たず、若手もごく限られる。いずれも、国の政策的支援や制度が必要な課題とされてきた。
 噴火直後に、登山者らにスマートフォンやラジオで一報を伝える「噴火速報」も今回は機能しなかった。監視カメラで噴火が確認し切れず、情報確認にも時間を要した。改善の余地があろう。
 本白根山が噴火した日は大雪の影響でスキー客が少なく、被害拡大を免れた面がある。警戒エリアの外とはいえ、草津温泉など周辺観光への影響が今後は懸念される。
 自然はいつでも、どこでも牙をむく。人知が及ばない厳しい摂理を改めて突き付けられた格好だ。だが、地震と同様、噴火の予測に限界があるとしても、そのメカニズムの解明や観測技術の向上に努め、被害防止に尽くすしかない。
 避難対策に不備はなかったか、観測漏れはなかったか。改めるべき課題は。丁寧な検証作業で「想定外」を減らしていきたい。
カテゴリー: 社説

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