2018.01.24 08:00

【機密費の開示】公開ルールを作るべきだ

 首相官邸で執務する官房長官は、秘密のベールに包まれた大金を管理している。内閣官房報償費、いわゆる官房機密費だ。
 国の事業を円滑に行うため機動的に使う経費とされる。毎年12億円程度が予算計上されているが、詳細は非公表で、国民は実態を知ることができない。
 最高裁がその機密費について、月ごとの支払額などの開示を命じる初の判断を示した。
 機密費を巡っては、目的外使用の疑いが指摘され続けてきた。最高裁は支払先や領収証などの開示は認めなかったが、一歩踏み込んだ判断を示したのは間違いない。
 内閣官房は外交はもちろん国政遂行上の重要な役割を担う。非公式な交渉や情報収集のために、時には詳細を表にできない資金の必要性もあるだろう。
 情報公開法も、国の事務遂行に支障が出たり、他国との信頼関係が損なわれたりする恐れがある場合には情報の非開示を認めている。
 だが、あくまで例外であり、公金の使い道は最大限公開するのが筋である。そうでなければ機密を盾にした恣意(しい)的な支出を招きかねない。
 国や国会は厳密な公開ルールを作るべきだ。判決を重く受け止め、抜本論議を急ぎたい。
 市民団体のメンバーが、機密費に関連する行政文書の開示を求めて、3件の訴訟を起こしていた。
 いずれも2005~13年に自民党政権下で官房長官だった3人が支出した機密費だ。情報公開請求では、国が全面的な非開示にしていた。
 裁判の争点は、機密費文書の全てが情報公開法のいう非開示の対象に当たるかどうかだった。
 控訴審では、支払先や具体的使途が明記されていない文書の開示を命じる判決と、国の主張を認め、ほぼ全面不開示とする判決に分かれた。このため、上告審での統一判断が注目されてきた。
 最高裁は、機密費の秘匿性の意義を認めつつ、機密費全体の月ごとの支出額や、機密費のうち官房長官が直接管理する「政策推進費」への繰入額などの開示を認めた。
 国はこうした文書でも、支払額や相手方、使途が特定される可能性があると主張した。非開示ありきであり、国民的な視点を欠いたものといえよう。最高裁は「特定は困難だ」として退けた。
 機密費への国民の疑念は深い。
 09年、政権交代が決まった総選挙の直後に、当時の河村建夫官房長官が2億5千万円を引き出したことが判明。10年には、野中広務元官房長官が野党議員や政治評論家などに配った過去を明らかにした。
 それ以前にも、ゴルフ代や背広代などに使われた可能性が指摘されている。問題は長年放置されてきたことになる。
 年間12億円もの公金の使途が全く闇の中というのは許されない。可能な限り開示するという視点で論議を始めたい。
カテゴリー: 社説


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