2018.01.21 08:00

【通常国会召集】チェック機能を果たせ

 通常国会があす召集される。
 自民党が大勝した昨年の衆院選を受けて同年11月に召集された特別国会は、会期が1カ月余りと短く審議は深まらなかった。森友、加計両学園の疑惑など越年した数々の問題について、今度こそ腰を据えた論戦を行わなければならない。
 森友、加計問題は小学校や大学の獣医学部の設立を巡って、官僚らが安倍首相に近い人物を「えこひいき」するなど、行政がゆがめられたのではないかという疑いが持たれている。首相は自らの指示や関与を示す証拠はない、として幕引きを図る姿勢だ。
 しかし森友学園の小学校建設用地となった国有地の払い下げに関しては昨年末、値引きの根拠となったごみの撤去量が国の算定の100分の1だったことが明らかになった。加計学園の獣医学部についても新設しなければ将来、獣医師の数が不足するのかどうか、客観的なデータを踏まえた説明さえなされていない。
 世論調査で国民の圧倒的多数が政府の説明に納得していない以上、幕引きなど許されるはずがない。
 憲法改正も大きな焦点となる。
 安倍首相は自ら「憲法9条への自衛隊明記」を提唱している。自民党はこれに「教育充実」「緊急事態条項」「参院選『合区』解消」を加えた4項目の論点を整理。党の改憲案を国会の憲法審査会に示し、論議を促す。その上で年内の国会発議に照準を合わせているとされる。
 あまりに性急と言うほかない。
 安倍政権は憲法解釈を変更し、集団的自衛権を容認する安全保障関連法を成立させた。これには今も違憲の疑いが強く残る。自衛隊の憲法明記により、安保法が既成事実化されることがあってはならない。
 今月中旬の共同通信の世論調査でも、安倍政権下での改憲に反対が54・8%に上っている。拙速な論議は国民の分断を招きかねない。「スケジュールありき」ではない慎重さが求められる。
 自衛隊を巡って政府は地上配備の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や長距離巡航ミサイルの導入、ヘリコプター搭載型護衛艦を改修し「軽空母」として運用する案などを次々に打ち出している。防衛費も膨張し続けている。
 北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍備増強を強調することで、防衛費を「聖域」扱いしていないか。「専守防衛」の基本から逸脱することはないのか。国会での厳密なチェックが欠かせない。
 そのためには野党の力があらためて問われる。民進党分裂で立憲民主党や希望の党が生まれたが、現状は「安倍1強」に対し野党の「多弱」化が進んでいるように映る。
 民進党と希望の党による統一会派も頓挫した。安全保障政策など根本部分できちんと合意できなければ、それも当然だろう。「大義なき数合わせ」では国民の支持は得られない。連携できる部分で連携し、巨大与党に対峙(たいじ)する姿勢が要る。
カテゴリー: 社説

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